2-21【凄く、凄く田舎だよ?2】
◇凄く、凄く田舎だよ2◇
お、驚いた……まさかあの子がいるなんて思わなくて。
でも、レインさんの所にいるという事は、やっぱり血縁?
「あ、あの……私、ミーティアって言います。ミーティア・クロスヴァーデン」
「――あ、そう言えば……そうですね。僕も名乗ってませんでした、すみません」
どうして謝るのだろう。別に悪い事ではないのに。
彼は丁寧に頭を下げて、私の目を見て言ってくれる。
「僕はミオです。ミオ・スクルーズ……十二歳です」
じゅ、十二歳……!?
そうは見えなかった。それに、思ったよりも年下だった。
身長は私よりも少し低いけれど、それでも頭半分も違わない。
目線が近い分、よく目が合って嬉しいし、そして何よりも。
私から目を逸らさないでいてくれる。
私の髪は、国では珍しい青色だ。
爽やかな水色ならまだしも、暗い程の藍色だ。
昔から暗いと、自分でも思っていた。
それに合わせたような青い瞳も、私は自分で好きではない。
そんな私から目を逸らさないでいてくれるのが、恥ずかしくもあるが、嬉しさの方が多い。
「……えっと、ミーティアさん?」
「――あ、すみません……私は来月で十五になります」
「そうなんですか」
(じゅ、十五!?……胸で……!?もう今のレイン姉さんくらいないか!?クラウ姉さんの数倍以上はあるぞ!同い年なのに!!)
うぅ……胸に視線が。
昔からそうだけど、よく見られるのよね。
こんなのただの脂肪の塊なのに。
でも……わ、悪くないかもしれない、この子に見られるのは。
他の男なら、睨み返せば黙っていただろうけど……なんだろう、睨めない……逆に私が赤くなってしまいそうだわ。
「――ほらほら、ミオ。いつまでミーティアさんを外に立たせているの?早く入ってもらいなさい?」
「あ、ごめん……レイン姉さん。ミーティアさんも、すみません!どうぞどうぞ、汚い所ですが」
あぁ、やっぱり姉弟だったんだ!
予想は当たっていたけど、納得だわ。
似ているもの……顔もそうだけど、優しい所とか。
「お、お邪魔します……」
中を見てみると、全然汚くなんかはない。
確かに物置小屋なんだろうけど、眠れる場所はあるし机まである。
地面に寝させられるよりは遥か……ううん、贅沢なくらいだわ。
「それで、ミーティアさんはどうしたの?」
「――へ?」
あ~、そう言えば……出会い頭に全部言ってしまった。
私としたことが、彼に会ってびっくりして……言わなければいけない事を、いっぺんに言ってしまったのだ……早い話が、もう話題はない。
ならばどうしよう……そうだ、こうしよう。
「あ、あの……私の国はどうなる――とか、分かりますか?」
私の自国【リードンセルク王国】。
王国軍も、国民が攫われて奴隷にされた事は知っている筈だ。
大商人である父だって抗議している筈だし……でも、正直言ってそんな事はどうでもよくて……私は。
「ご、ごめんなさいね……ここは物凄く田舎で、直ぐに連絡を付けられるような手段が無いの……馬なんかも無くてね」
レインさんは申し訳なさそうに謝る。
「あ……いえ、その……はい」
馬もいないの?そう言えば、村とか言いつつ動物は見なかったな……家畜や鳥の一羽もいないのは流石におかしいと思うけど、でも……野菜スープが美味しかったし、それはそれでそういう在り方なのかな?




