表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/1304

2-12【裏側では】



◇裏側では◇


 一言いいだろうか……うん、黙って聞いてくれないか。

 俺さ、主役だよな?


 すっげぇ疑問なんだけどさ、クラウ姉さん……戦闘面で全部持って行ってないか?

 いや、いいんだ……いいんだよ?

 別に思ってないよ?(うらや)んでないよ?

 俺も戦いたいとかさ、俺TUEEEしたいとかさ、考えてないよ?


 たださ、いいのかなコレで……って思うじゃん?

 今回の俺、焚火(たきび)の炎を消しただけだぜ?

 しかも正確には、消したんじゃなくて……【無限(むげん)】の力で、焚火(たきび)に使われてた(まき)の数値を(いじく)って、消える様に見せただけだけどな。


 俺以外から見れば消した様にしか見えないだろうし、消したと言えば消したんじゃないか?


「――お、始まったか」


 ――とか言っている内に、どうやらクラウ姉さんが戦闘を始めたみたいだな。

 音が聞こえる……また激しく動くねぇ。


 こっちに残ってるのは……兵士二人か。奴隷(どれい)たちを逃さない様に見張りにしたんだな。


「さてと……どうすっかな」


 いろいろ試してみてもいいんだが、俺の能力的に……こうだろうな。

 俺は【無限(むげん)】を発動させ、二人の兵士たちと奴隷(どれい)の間の土を、ゆっくりと隆起(りゅうき)させる。

 (さいわ)い兵士たちの視線は向いていない。

 チャンスと踏んで、俺は一気に数値を上昇させて、土を壁のように高くさせた。


「次っ――!」


 次は兵士たちの足元だ。壁に気付かれれば、奴隷(どれい)たちを盾にされちまうだろう。出来ればそれは避けたい所だ。

 だから、兵士たちの足元の土の軟度(なんど)を――沼のように柔らかくしてやる!そうなれば当然……


「――お、おわっ……な、なんだ!!足が……沈んでくっ!」

「なんだ、ど、泥かっ!どうして急に……くそ、抜けないっ!」


 そうだろうそうだろう。

 俺も経験あるよ。田植えってさ、ハマると抜け出せない時あるよな。

 それこそ底抜けのようにさ。


「――な、なに……?って、えぇ!?か、壁!?」

「なんだよ、これ」

「いつの間に……何が起きたの?」


 奴隷(どれい)たちも、自分たちの背後に現れた土の壁に気付き、(おどろ)いている。

 ふふふっ……そうだろうそうだろう、(おどろ)いただろう。


「よし……このまま動くなよ、黙って沈んでおけ」


 さてと、兵士たちも動けなくしたし、奴隷(どれい)たちの視線も隠した。

 お顔を拝見(はいけん)しに行こうかね。


 だけど、この時は思わなかったんだ。

 この後に(おとず)れる出会いが……俺の異世界転生での、初めてのラブコメ展開だって事に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] Σ( ̄□ ̄)!ラブコメ? え、ラブコメなの? ラブコメ、始まっちゃうの? えぇぇぇぇ……………
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ