波乱のお披露目会 #1
※若干百合要素あります。ご了承ください。
オーファン公爵家の庭はとても広い。人が沢山入れるくらいのスペースがある。そして、今日はその庭が人で埋まっている。心優しきオーファン公爵家を慕っている人々で溢れかえっているのだ。
その人々に囲まれながら歩くのは______
オーファン公爵家の男特有の群青色の短髪、緑色の瞳の白いタキシードを着て顔を仄かに赤らめている次男坊___セオドア・ライド・オーファン。
そして、その男の腕に手を添え隣を歩くのは……サクリファイス大帝国皇族の特有の紅銀の長髪、龍神の血を受け継ぐ証である黄金色の瞳の白いドレスを身に纏い優しい笑みを浮かべる皇女____アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイス。
今日は2人のお披露目会だ。
「おめでとー!」
「セオドア様久しぶりー!」
「ああ………あれがサクリファイス大帝国の皇女様……ありがたや……」
人々は盛大に祝う。ヴァージン・ロードに見えなくもない道の先には____セオドアの両親と兄が。両親は涙を流している。
「セオ……………うう…………」
「もうっ、貴方は泣きすぎ………ッ」
「2人とも泣きすぎだよ。………おめでとう、セオ」
「……あ、ありがとう………父上、母上、兄上。
俺_______凄く、幸せだ」
そう言って顔をクシャクシャにして泣きながら幸せそうに笑うセオドア。それには両親も号泣せざる得ない。息子と言うより娘の扱いである。
その様子に美しい皇女はくすくすと笑う。
「_____お父様、お母様、お兄様。
必ずや、この可愛らしい御方を幸せにします」
「ッ…………お願いします、アミィール様」
「わたくしからも、お願い致します………」
「おう、頼んだぜ、かっこいい皇女サマ」
「…………ッ」
その言葉に更にボロボロの顔で泣くセオドア。こんなに幸せを感じられるのは、家族のおかげだ。間違いなく、俺がアミィール様の隣にいられるのは、この人達のおかげなんだ。
未だに泣き続けるセオドアを、アミィールは優しく頬に口付けをする。
「セオ様、わたくしも、幸せですわ」
「…………ッ、アミィ………」
いい雰囲気の中、2人はどちらとも言わず唇を__「2人とも~!」…………。
その空気を壊したのは、皇妃のアルティアだった。隣にはなんとなんとヴァリアース大国女王陛下、エリアス・ラピュード・ヴァリアース。
邪魔をされたアミィールは物凄く険悪な顔をして睨む。アルティアはあっけらかんとしながらニコニコしている。
「いやーめでたい!正式な結婚の儀は再来月だけどね!」
「……………お母様、貴方って人は………!」
「セオドア、おめでとうございます。わたくしも嬉しいです」
「じ、女王陛下………………!」
2人の仲を引き裂くように大人達が割り込んでいく。その光景を空の上から2人の妖精神が見ていた。
『…………本当にやるんですか?ドゥルグレ』
『ああ、…………ムカつくが、祝いの日だ。祝おうぜ』
2人は地面に降りていく。そして、お披露目会の主役の前に立った。
「?リーファじゃない、それに、ドゥルグレまで………」
一番最初に気づいたのはアルティアだった。アルティアの言葉に、セオドアはアミィールの方を見る。
緑色のグラデーションの髪を三つ編みにした、金色の瞳の美女。
___あれって、『理想郷の宝石』の攻略対象キャラの森の妖精神・リーファじゃないか!
学園中出てこなかった森の妖精神が、アミィールに近づく。アミィールは首を傾げた。顔見知りではあるようだ。
「リーファ様?どうなさいました?」
『おめでたい日なので、わたくしからお祝いを』
「お祝い____んっ!?」
「!」
リーファはなんと、アミィール様に唇を重ねたのだ。すると緑の魔法陣が生まれて___緑の光が、アミィール様の足元に吸い込まれていく。
「っは、な、何をしますの!?」
『契約印です。わたくしの力が必要な時はお呼びくださいませ』
そう言ってにっこり笑うリーファ。遠目から見ていたセオドアは複雑な気持ちになっていた。




