表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/470

皇女と主人公は以心伝心

 



 「……………………………」






 アミィールは、自室で空を見ていた。

 ………………わたくしは、セオドア様と結婚出来る。嬉しい、嬉しいの…………だけど、怖い。



 セオドア様が変わってしまわれるのではないか。



 傷つけられてしまうのではないか。



 ……………………心の優しいセオドア様が、セオドア様じゃなくなるのが、途方もなく怖い。




 身体が、震えた。



 わたくしは、龍神の血を受け継いでいる。


 それを理由に、何度も攫われかけたことがある。その度に両親、両親の仲間達、妖精神、精霊達が守ってくれた。



 わたくしは弱いままでは居られなかった。……………弱ければ、攫われてしまう。殺されてしまう。




 そうなったら_____わたくしが生まれた時、喜んでくれたお父様、お母様、フラン様、ダーインスレイヴ、ガロ、リーブ、クリスティド国王陛下、エリアス女王陛下、妖精神、精霊、国民達、従者達、…………………皆様が悲しまれる。





 それはダメだ。嫌だ。




 そう思って、生きてきた。

 だから穢れた血が憎くて、嫌だった。



 そんな気持ちに、愛おしい人がなってしまったら?____怖い。




 わたくし、怖い。セオドア様に会いたい。




 セオドア様______





 そう思った時、コンコン、とノック音が響いた。…………?エンダーかしら?



 頑張って震えを抑えて『どうぞ』と言った。扉が開くと___愛おしい御方が居て。




 「……………セオ様…………」




 「アミィ……………ッ!」




 「きゃっ」




 セオドア様は、わたくしを見るなり、走るようにわたくしの元に来て抱きしめてくださった。震えていた身体にじんわりと染み渡るように体温が伝わっていく。息が荒くて、耳が擽ったい。




 けれど、どうして?セオドア様はわたくしの部屋にいらっしゃったことがないのに……………「ごめん」………?




 セオドアは、ぽつり、ぽつりと言葉を紡ぐ。




 「アミィの気持ちも考えず、浮かれて、…………1番大切な事を忘れていた。……アミィを傷つけないという約束を………誓いを……破った。



 ごめん、ごめん……………」





 セオドア様は、沢山謝ってくださった。わたくしの顔に、セオドア様の涙が落ちる。




 ___嗚呼、わたくしの知っているセオドア様だ。



 わたくしが恋焦がれ、深く愛している、優しくて内向的で…………か弱い御方。




 わたくしは、馬鹿だ。



 セオドア様を疑うなんて_____馬鹿すぎる。




 「………………………セオ様、謝らないでくださいまし」




 アミィールは背伸びをして、セオドアの涙を舐めとった。けど、代わりに自分が涙を流していた。それでも、笑顔で言う。





 「_____セオ様は、サクリファイス大帝国の者になるのです。簡単に謝らないでください。



 わたくしは___どんなセオ様でも、愛し続けますから………………」





 そう言って、セオドア様の頬に両手を置く。

 群青色の髪、エメラルドのような綺麗な緑色の瞳、子犬のようなお顔。



 _____愛おしい。




 アミィールは、唇を重ねた。

 セオドアはそれを受けて、アミィールを抱き締める。きつく、それでも優しく。





 紅銀の長い、サラサラとした髪、いつも俺の顔を映し出してくれる黄金色の瞳、……………全部全部、俺の大好きな人。





 俺は、もう失敗しない。

 ____もう、この美しくて男気があって強くて…………それでも、"女"であるこの人を離さない。





 俺は_____どんなに強い力を持っても、この人だけを愛し続ける。





 ______この人を守ろう。





 2人は甘く、塩っぱく、酸っぱいキスをしながら____同じ事を考えたのだった。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ