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皇妃×主人公

 





 サクリファイス皇城はとにかく大きい。城だから当然なのだが、ヴァリアース大国など比べ物にならないくらい立派でどこもかしこもスケールが半端ではない。



 その中でも一際大きく、また、美しいのは___庭園のもっと先にある、大きなテラス。ひまわりが季節を忘れて咲き誇り、テラスは白一色に統一されている、幻想的で不思議な場所だ。



 "あの御方"は前に言っていた。

 公務がない時間は大抵ここに居るから気が向いたら足を運んで、と。




 俺はその言葉を受けて、アミィール様の侍女・エンダーの目を盗んで…………というか、お金を握らせて出てきた。レイにもガロにも伝えている。




 テラスが見えると、サァ、と風が吹いた。ひまわりの花が舞う中、テラスに人影を見つける。




 黒髪のストレートヘア、黄金色の瞳、黒のドレス____アルティア皇妃だ。





 「_____これは、珍しいお客様ね」





 「アルティア皇妃様、こんにちは。



 ……お聞きしたい事があって、参りました」






 俺は、龍神について___アミィール様を愛する者として、知らなければならないんだ。





 「まあ、そんなに改まることはないわ。………とりあえずこちらへ」




 「失礼します」




 セオドアはアルティアに促されて、向かいに座る。どう切り出せばいいだろうか。普通に『龍神について教えてくれ』と言った方がいいのか。…………アミィール様のように傷つかないだろうか。




 こんな時までうじうじする自分に嫌気が差す。何しに来たんだ、俺は。




 膝の上に置いた拳を握るセオドアをアルティアは目を細めながら見て、口を開いた。




 「____その顔は"龍神"について聞きに来たのね」



 「……………!」




 「そんなに驚いた顔をしてるけれど、顔に書いてあるわ。ガロからも今龍神について勉強してると聞いているし」




 「……………はい。龍神がどのような物なのか、………アミィール様と共に生きるためには、知らなければならないのです」




 「そうね。その通りよ。……………けど、まだ貴方には早いわ」



 「え?」



 顔を上げた。アルティア皇妃はいつもの明るい顔ではなく、どこか遠くを見るような横顔。



 アルティアはひまわりを見ながら言う。




 「龍神、というのは正確に言うとこの世界にはもう居ない。私が最後の次期龍神で継承もしなかったから。でも、私の血は龍神の血。…………最初は人間との間に子は出来ないのかと思ったけれど、アミィールは産まれたわ。


 だから、貴方がこれから先結婚をして子を成すことは不可能じゃないわ」




 「ッ、そうではなく、…………アミィール様のお身体のことを、アミィール様の抱えている闇を…………知りたいのです」




 そう言うと、アルティア皇妃はやっと俺を見た。けれど、その顔はやっぱりいつもの笑顔ではなく…………悲しく、強い顔だった。




 「アミィールの闇、闇ね………私はアミィールじゃないからアミィールの気持ちまではわからない。けれど、苦労をさせているでしょうね。


 あの子はこの血と言うだけで毛嫌いしている節はあるから。…………でもね、この血は………いいえ、アミィールの持つ血は"運命を変えた証"だから、大事にして欲しいって思っているわ」





 「ど、……いう意味ですか?」





 アルティア皇妃はそこで首を振った。これ以上は聞くな、ということなのだろう。…………謎が謎を呼んだだけに留まった。





 「……………それより、セオドアくんは日本生まれなの?」




 「え」





 突然の方向転換。正直戸惑った。

 話していいのかどうか悩んだけど、日本生まれなのであろう皇妃様が聞いていらっしゃるのだから答えないわけにはいかない。




 「……………はい、そうです」




 「!やっぱり!」




 「わっ」





 俺がそう答えると、アルティア皇妃は前のめりになった。













※どうでもいい小話



龍神について興味を持った読者様は前作をお読みください。

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