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皇女の生態

 




 「セオ様、明日は予定がございますか?」




 夜、執務を終えたアミィール様が部屋を訪れてそう言った。部屋に来ることは毎日のことだけれど、お誘いは久しぶりだった。嬉しい気持ちを抑えつつ、答える。




 「明日はガロ様がアルティア皇妃の公務を手伝うと言っていたので、一日だけ休みを貰った、よ」




 「…………ふふ、また敬語が出そうになったんですか?」



 「う………………そう簡単に治らないん、だぜ」



 「あははっ、さらに酷くなりましたね」



 アミィール様は声を上げて笑う。とても皇女様には見えないけれど、そんなアミィール様も可愛らしくて好きだ。今日はよく寝れそう。




 なんて思いながら微笑むセオドアに、『でしたら』とずい、と顔を近づけてきた。




 「な、なんだい?」




 「明日、わたくしと共に来て欲しい所があるのです。よろしいでしょうか?」




 そう言って大きな黄金色の瞳で見つめてくる。顔、近……毎日キスしているのに、本当に慣れない。それぐらい美しすぎて人間国宝である……本当に俺が結婚していいのか……?




 「……………だめ、でしょうか」




 「そ、そんなことはない!けれど、執務などは大丈夫なのか?」




 しゅん、とするアミィール様に慌てて言葉を紡ぐ。でも、本当に疑問だった。アミィール様の仕事は行政、国交、法律改正………多岐に渡るものを纏め、皇帝に進言するという重要な仕事である。故に、暇などいつもない。



 夜と朝は必ず顔を合わせるようにはしてるが、昼間はその日その日に違う。…………最も、仕事を放り出して来るわけだからすぐに侍女のエンダーに連れ戻されるのだが。




 そんな心配は杞憂らしく、アミィール様は声を弾ませた。




 「明日はわたくしも休みなのです!あの排泄物皇帝に直談判したり兵士達と共にストライキを起こしたりお母様に色香を使ってもらったりして、1日もおやすみなのですよ」




 「…………………」




 …………………サクリファイス大帝国に皇配修行に来て早3ヶ月、毎日のように話をし、他にも城の者と仲良くなったりして色々なことがわかった。学園では完璧気高い美少女は、サクリファイス大帝国にはおらず。



 サクリファイス大帝国に居るのはかなり破天荒でお転婆で手段は選ばないタイプの俺様属性の皇女様なのだ。



 ギャップというかここまで来れば性格破綻者ではないか?とも思うことがあるが、裏を返せばそれだけの事を許せるほど従者、皇族からの信頼を得ているとも取れる。実際、俺もそれを知ったからと言ってアミィール様に不満や不服を持ったことがない。ついていけないこともあるけれど、自然と歩幅を合わせてくれる……そんな男前な愛おしい人なのだ。





 「……なら、喜んで。アミィが連れて行ってくれる場所ならきっとどこでも楽しい。


 アミィと居るだけでも楽しくて幸せなのだから」




 「………………!」




 「?」




 俺がそう言うと、すぐに顔を真っ赤にした。人ってこんなに真っ赤になるのか?というくらい赤い。暫く口をモゴモゴしてから、ぎゅう、と抱き着いてきた。





 「____今の顔、他の人にしないでくださいまし」



 「?どんな顔ですか?」



 「………………敬語、しましたね?」


 「あ」



 耳元で甘く囁かれる。これはまずい…………!と、思ってる傍から耳朶を柔く噛まれた。




 「ッ、アミィ、からかうのは………」



 「少しは欲情いたしましたか?」




 「ッ………………」





 抱き着かれた辺りからずっとしてます、とは言えず。そのかわり腰に手を回した。





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