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ある日の庭園にて

 








 ダーインスレイヴは顔をぐっ、と近づけてきた。め、めちゃくちゃイケメン………というか、若干皺があるからダンディ系キャラ…………?『理想郷の王冠』でダーインスレイヴを攻略する前に死んだからどういうキャラなのかわからず戸惑う。



 そんなセオドアを見て、不思議そうな顔をしながら独り言のように呟く。




 「ふぅん……やはり読心術が上手くいかないな。不思議な魂……どこかアルティアに似てるかもな。


 アルティアも特殊だし……同郷の魂だったら、面白いけどな……」




 「あ、あの、何を仰ってるのですか………?」




 「いや、気にするな。………とにかく、だ。お前はアミィールに寵愛されているのだからもっと自信を持て」




 そう言ってダーインスレイヴはポンポン、と俺の頭を軽く叩いてふ、と姿を消した。




 流石幽霊キャラ……あんなこともできるのか……




 「セオドア様、そろそろ風が冷たくなってまいりました。貴方に風邪を引かれてはわたくしの給料が減りますので中に」





 「……………ああ」




 流石『理想郷シリーズ』。全員キャラが濃いなあ……………なんて思いながら、城内に戻った。






 * * *






 「………………うん、こんなものかな」




 別の日、アミィール様の許可を頂いて_アミィール様はサプライズをしたくて隠してたのにとやっぱり頬を膨らませていた_庭園の花壇に花を植えた。ヴァリアースから持ってきた苗だ。良質な物だから、ちゃんと育てれば綺麗なカーネーションが咲くはずだ。




 けど、気候が少し心配だった。


 ヴァリアース大国は森の妖精神に愛されているというゲームの設定で、実際この世界でもそれは知られている。他の国にも妖精神は居ると聞いたことはあるが、文献は少ない。御伽噺と笑い飛ばしたいが、森の妖精神が居るのであれば、きっと居るのだろう。





 それはともかく、その文献によるとサクリファイス大帝国は大きな国なのに唯一妖精神が居ないのだ。加えて、俺がここに来てまだ1ヶ月も経っていない。文献を読むには読んでいるけれど、とにかくサクリファイス大帝国は謎多き国なのだ。殆ど情報がない中植えてしまったと絶賛後悔中だ。




 綺麗なカーネーションを見たアミィール様のお顔を見たい。喜んでくれるか、綺麗と太陽のように笑ってくれるか、考えただけで笑みがこぼれる。




 「…………アミィール様のためにも、綺麗に咲いておくれ」




 「あら___随分、幸せな顔をするのね」




 「!」




 後ろから声がした。エンダーの声ではない。でも、聞き覚えがあって、立ち上がって頭を下げた。




 「アルティア皇妃様!申し訳ございません!」




 「うわ、……なんで謝られてるの?私…………」



 そう言ったのは、アミィールの母のアルティアだった。




 皇妃がこのような所をウロウロしているのはどうかと思うけれど、婚約者である俺も同じようなことをしているのだから人のことは言えない。



 そんなことを考えているセオドアにくす、とアルティアは笑みを零す。





 「面白い挨拶ね。でも、顔はあげて頂戴。私達はもう家族でしょう?」



 「家族など………!私は未だ婚約者であり、そのような技量は……」



 「ふむ、真面目ね。ならばこうしましょう。



 "顔をあげなさい"」




 「!」





 アルティア皇妃がそう言うと、下げていた頭が勝手に上を向いた。黒髪の黄金瞳の美女と目が合う。



 「あ………えと、これは…………」




 「ごめんなさいね、手間だったので言霊呪文を使ったわ」





 言霊呪文…………?なんだろうそれは………



 言霊呪文がわからないでいるセオドアを他所に、アルティアは腰を落として花壇に植えた苗に触れた。











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