阿鼻叫喚な食事会
「……………アル」
「はい、なんでしょう?」
「…………………」
今日も家族で食事を取ります。で、アルティア皇妃にわざわざ声をかけ睨みつけているのがこのサクリファイス大帝国皇帝であり俺の義父であるラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。
言わんとしていることはわかる。自分の知らないうちに『花火大会』をやると公言してしまったのだから。完璧に皇帝を無視して単独でだ。しかし、その張本人はあっけらかんとして俺に話しかけてくる。
「ねえ、セオくんさっそく『出店をやりたい!』っていう国民達が殺到してね、ニホンでよくある射的やらを教えてあげたわ。
金魚すくいは魚屋さんがやるといっていたし、射的は兵士達が担当して、………ファーマメント王国で綿菓子を作る機材を10台ほど調達して頂戴。あと、型抜きのあの食べれるヤツの作り方も教えてあげて。
全部三日後にお願いね」
「ちょっ、アルティア皇妃様!ファーマメント王国を探すだけで手一杯ですよ!それに型抜きのお菓子は作ったことがなくて………」
「あと19日しかないのだから頑張りなさい!」
「……………アル、そろそろ私に説明があってもいいんじゃないか?」
「そうですわね、お母様、次は何をなさろうとしているのですか?」
「うるさいわね~頭硬いズ。とにかく楽しいことが起こるんだから喜んでなさいよ。ラフェーは19日で時間取れるくらい執務をこなしてね。
アミィールはしなくても、と言いたいけれどさすがにセオくんのモチベーションが上がらなくなるから頑張って時間を取ってちょうだい。
そして、19日の夜はフィーバーよっ!」
アルティアはそう言ってだぁん!と机に足を乗せてドヤ顔をする。パンツが見えてます、アルティア皇妃様。そして、必然的にラフェエル皇帝の視線は俺に来るわけで。
「…………セオ、詳しい説明を」
「………………はい」
セオドアはカタカタと震えながら『花火大会』を教えていた。それを他所に、手にパンを持つ子供達は話す。
「はなびたいかいって、なんだ?」
「えっとね、えっとね、お空にお花が咲くの!」
「ナニソレ、気持ち悪ッ、頭おかしいんじゃないの?」
「頭おかしくないもん!とっても素敵だよきっと!」
「ハンッ!それよりも明日プールに行こうぜ、絶対プールの方が面白いから!けつだけすらいだーみせてやるよ!」
「あんなお下品なものをみせないで頂戴」
「なんだよ、女の子供はかちかんがずれてるぜ」
「価値観、ね。価値観がズレているのはアドよ。変なことばっかり。わたくしを困らせないで」
「へんっ、セラが困っても俺はするもんねー」
「ッ、アドサイテー!」
「セラのわからず屋~泣き虫~だからオムツも取れないんだよ、上も下もおもらし~」
「っ、おもらしじゃ、ないもん……泣き虫じゃないもん………ふぇぇぇぇん!」
阿鼻叫喚と化した食堂、今日も家族は元気です。
* * *
「レイ、これやってみろ」
セオドアの自室にて。セオドアは執事のレイに1枚のお菓子を出した。お菓子、というにはあまりに質素で美味しそうではない。真ん中に丸が描かれている。見たことないものにレイは首を傾げる。
「なんだこれは?」
「型抜きの試作品だ。ほら、この小さな針を使え。真ん中の丸を綺麗に抜いてみろ」
「???」
セオドアはそう言って縫い物用の太い針を渡す。それを受け取り、言われたとおりやってみた。




