花火大会決行確定!?
セオドアが『花火大会』と言うと、アルティアとフランが目を輝かせて持っていたスイカを投げた。
「なにそれ!絶対楽しいじゃない!」
「花火大会イベントきた~!少女漫画の鉄板を忘れるなんて、私ってば年取りすぎ~!
花火大会で着物を着て街を練り歩き、買い食いをしながら手を繋いで、花火のよく見える場所で『花火よりも君が綺麗だ』なんていっちゃって、そこから恋が始まるパターンもあって………あ~!私、ダーインスレイヴ様と回りたい!
や!り!たー!い!」
「あ、いや、えっと………」
何気なしに言った言葉に興奮する大人女性2人に戸惑うセオドア。セラフィールはそんな父親に聞く。
「はなび、ってなあに?」
「花火っていうのはね、空に光の花を咲かせることよ」
「おはな!?おはなみたーい!」
俺の代わりに答えたアルティア皇妃様の言葉に、セラフィールは万歳と手を挙げた。女全員がノリノリになってしまった………けれど、それは………
「難しくないですか?花火なんてこの世界にありませんし、そもそも屋台なんて風習ほとんど定着してないですし………」
「言い出しっぺがなに弱気になっているのよ!いいじゃない花火!やりましょうよ!
こんなビッグイベント!広めるチャンスはないわっ!フラン!今すぐエリアスを呼んで緊急会議よ!」
「いや!エリアス女王陛下は仕事ですよ!?女王ですよ!?」
「女王なんて座って『こーしろ』、『あーしろ』言ってるだけじゃない、大丈夫よ」
「女王を舐めすぎです!」
「この世で私の言葉よりも大事な事なんてないわ!フラン、行きなさい!」
「ラジャッ!」
「私は国民達に伝達しなきゃね。セオくん、セラちゃん借りるわよ」
「は!?何をするんですか!?」
「黙って見てなさい。
____秘術・映像放送」
「!?」
アルティア皇妃様がそう言うと、たくさんのモニターのようなものが現れた。国民らしき人間たちが足を止めてこちらを見ている。アルティア皇妃様は口を開いた。
「国民達よ、ごきげんよう。
私はサクリファイス大帝国皇妃・アルティア=ワールド=サクリファイスでございます。
さてさて、つまらない世間話はせずに本題に入りましょう。
今日から20日後、『花火大会』を行います。お祭りだと思っていただいて構いません。料理屋は売りの食品を屋台に出しなさい。そうね、……他にも沢山の出店をして欲しいわ。その気のある国民達はサクリファイス皇城に来なさい。
私がどのような出店を出せるのか意見を出しましょう。
20日後、空に大きく綺麗な花が城下町に沢山咲きます。できれば外に出て、祭りをしながら見ましょう。
では、ごきげんよう」
アルティア皇妃様はそれだけ言うとモニターを全部消した。そしてにっこり笑う。
「これで花火大会はできるわね♪」
「そ、んな………で、でででできるわけないじゃないですか!?花火の作り方さえ私達は知らないのですよ!?」
セオドアは頭のリボンを取って慌てて言葉を紡ぐ。しかし、アルティアは爽やかな笑みを浮かべてサラッととんでもないことを言った。
「私前世で工業高校に通っていたから火薬取り扱いは自信があるの!花火師のアルバイトもしていたから知識はあるわ!
そして私達には火を扱える魔法があるでしょう?
ね、私最強でしょ!」
「……………………」
「こうぎょー?かやくー?はなびしー?
ねーパパ、どういうこと?」
セオドアはセラフィールに服を引っ張られながら思った。
……………この人、本当に何者…………?なんでもできるじゃん………遊びに関しては……無駄に………………とてつもなく無駄に…………
 




