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条件は整った

 





 「大天使、の血脈ねえ………」



 サクリファイス大帝国の玉座にて。帰ってきた俺達はすぐにラフェエル皇帝とアルティア皇妃に謁見した。そこで聞いた全ての話を終えると、アルティア皇妃がつぶやくように言った。




 「確かにスカイがそんなこと言ってた気がするけど、すっかり忘れてたわ。結婚前の密会の時声掛けても来なかったから私は怒ってたし………にしても、これまたRPGゲームのような設定ね。つまり、私達の家族全員が規格外、と」



 「…………私は普通の人間だ」



 「普通の人間が武技なんて使えるわけないでしょう、ラフェーは普通じゃない、これ絶対。


 まあ、それは置いといて。2人はそれを聞いても別れる気はないんでしょう?」



 「もう、ありませんわ」



 「最初からありません」



 アミィールとセオドアは口を揃えてそう言う。子供達もぴょんぴょん跳ねながら言葉を重ねた。



 「わかれさせないもん!パパとママが離れ離れになるのはんたーい!」



 「はなれたら父ちゃんはなくね、これ絶対、母ちゃんなんてあばれまわるぞ!」




 「ふふ、子供達もそう思う?そうよねえ。………まあ、『治癒血』の事もあるし、そうそう別れさせたりなんてしないわよ。安心なさい」



 「ありがとうございます、お母様」



 「ありがとうございます、アルティア皇妃様」




 「あらまぁ、1度はファーマメント王国に行ってみるものねえ。2人がとても素直で嬉しいわ。ね、ラフェー」


 「ふん。まあな。………とにかく、アミィ、お前は寝ろ。目のクマと腫れているのが痛々しい」



 「…………あ」



 アミィールはそう言って目に触れる。

 忘れていたけれど、アミィールは徹夜明けからのこの騒動でほとんど寝てない上、ずっと泣いていたから美しい顔が少し崩れているのだ。とはいえ、それでもほかの女より美しいが。




 そんなことを思いながら、セオドアはアミィールに声をかけた。



 「アミィ、子供達を連れて先に部屋に戻っていてくれるかい?」



 「どうしてですか?」



 「アミィは寝なきゃだろう?子供達もお昼寝の時間だよ。………私は、ラフェエル皇帝と執務について話したいんだ。ファーマメント王国の貿易の件も一緒に話しておくよ」



 「………わかりました。では、部屋で待っております。


 アド、セラ、行きますよ」




 「はーい!」



 「ほら、母ちゃん、手を繋いであげるからここで寝ないでよ!」





 そんなことを言い合いながら、3人は玉座の間を出ていった。それを見送ってから___セオドアは、静かに言った。



 「_____契約印、死神と闇の精霊以外揃いました。


 どうか、お願い致します。


 ワールドエンドへの道を___開いてください」




 「……………………」




 そう。俺がここに残る理由。

 それは____"幻の島"、ワールドエンドへ行くための切符を手に入れたからだ。



『呪い』を無くすために、___俺は、動かねばならない。





 強い決意のセオドアに、初耳のラフェエル皇帝は険しい顔をして聞く。



 「___なぜだ?」



 「人柱の呪いを……私が解けるのか、試したいのです。


 この血を持って、解きたいのです。できるかなんて考えてません。……やるのです」




 「……………」





 「まーまーまーまー」




 重い雰囲気の中、アルティアは明るい声で二人の間に立った。そして、いつものように掴みどころのない言葉を紡ぐ。



 「ワールドエンドは満月の夜しか開かないから今すぐはむーり、焦ったら負けよー?


 それと、ラフェー、そういう事だから次の満月はワールドエンドに行ってね!」



 「…………アル、どういうことか説明しろ」



 「説明ねえ、それはセオくんから聞くべきじゃない?ね、セオくん」



 アルティア皇妃様はそう言って俺に黄金色の瞳を向けた。その目は確実に威圧をしている。………でも、黙っていては何も変わらないから。




 「実は_____『呪い』は、解けるかもしれないのです」




 セオドアは、震えることなく、説明したのだった。





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