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一件落着?

 



 次の日。


 「____此度は突然の訪問、申し訳ございませんでした」



 「私達の娘を助けてくださり、ありがとうございました」




 アミィールとセオドアは玉座の間にて仰々しく頭を下げた。目の前には空の妖精神・スカイと風の精霊・ウェイトが居た。ウェイトは軽い調子で言う。



『や~ね~ワタシも契約印あげたじゃないのぉ♪』



 「俺のぞうさんが立派になったじゃないのぉ♪」




 アドラオテルはアハアハと言いながらズボンを下ろそうとしている。セオドアはセラフィールと共にアドラオテルのズボンを抑えている。アミィールは言った。



 「____では、昨日述べたように、これからはファーマメント王国との貿易を開始させていただきます。


 宜しいのですね」



 「ああ。ファーマメント王国の者は地上の食べ物を食べてみたいと、物に触れてみたいと言うておる。


 そして地上の者も__どうやら、空の物に興味があるようだからな」



 スカイはそう言ってセオドアの片手を見る。片手にはわたあめを作る重い機材の入った袋が。セオドアは目に見えて上機嫌である。



 「はい。空の物、地上の物、触れ合えば自ずとどのような文化があるのか、心が踊るものが沢山ありますので。


 私も天下ったとはいえ、天使の血を受け継ぎし者、貿易の担当はお任せ下さい。オーファン家の者にも私が聴いたことを話してみます。ヴァリアース大国もこの話を喜んでくださるでしょう」




 「ふん。オーファン家の者ならば、この国の者も受け入れるだろう。



 それより____本当にいいのか?」




 スカイは低い声で聞いた。

 その言葉の意味を理解しているセオドアは大きく頷いた。



 「はい。___大天使として、私は再びこの地の王になる気はございません。父や兄はどういうかわかりませんが、きっと『ここ』で王になることを固辞するでしょう。



 私達は龍神が居なくなってもなお、自分達の国に貢献しております。その地位を捨てて王族になどなる浅はかな者はオーファン家に存在しない。


 それは、私もです。___私は、サクリファイス大帝国の皇配。愛する者を捨てて王になりたくございません。



 なので、王の座はいりません」





 セオドアははっきりそう言いきった。

 …………俺はオーファン家としてこの国の王にならないか?とありがたいことに言われたのだ。けれど、王になることよりも…………大切な事があるから。



 セオドアはそこまで考えて、アミィールを見る。アミィールはセオドアと目が合うと、優しく微笑んだ。子供達もぴょんぴょん跳ねていう。



 「わたくし、サクリファイスがすきー!」


 「王様、ならない!つまんなそう!」



 …………子供達は無欲である。王になれると聞いたら喜ぶはずなのに、2人は口を尖らせてブーブー言っているのだから。でも、流石『最上の神』と『大天使』の子供達、そんな人間の地位などに興味がまるで無いのだ。




 「重ねて申し訳ございません。………この国が悪い訳ではなく、わたくし達の子供達はこのように地位に興味が無いのでございます」



『よい。それでこそオーファン、それでこそ龍神の血筋だ。サクリファイス大帝国との貿易を通して、その血が災いを齎さんか見せて頂こう』



 「は。必ずや期待に添えるよう、行動し、尽力させていただきます」



『うむ。……ウェイト、この者達を見送りせよ』


『はぁい、スカイちゃん♪


 じゃあ、行くわよ~!』



 「わっ!」



 ウェイトがそういうと、俺達は外で待っていたヴァルの背中に下ろされた。声が木霊する。



『じゃあね~♪アドラオテルちゃんとセラフィールちゃんなら大歓迎よ~!妥協してセオドアちゃんも許しちゃう!


 だがしかしアミィール、お前はダメだ』




 「………………」



 「…………………」




 …………アルティア皇妃はどれだけウェイトに酷いことをしたのだろう、と疑問に思ったセオドアでした。







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