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それは確かに偉業だった

 



 セオドアは前のめりで詰め寄る。目はとても輝いている。



 「とても欲しいです!あるのですかそんなものが!」



『え、ええ………わたあめの文化はファーマメント王国のものですし………



 ふふ、おかしいわね、貴方』



 「あっ………」



 セオドアはそこまで言って顔に熱を集める。しまった、お菓子のことを考えると我を忘れてしまうの、よくない。良くないぞ。




 ウェイトは顔をあからめるセオドアを見て『あら可愛い』とセオドアの頭を撫でた。




『結婚式以来に見たけれど、本当に格好いいわ~、おまけに可愛いし』



 「結婚式………?」



『ええ、貴方たちの結婚式を全妖精神、全精霊達で見に行ったのよ』



 「ええ!?」



 セオドアは驚く。そんなの初耳である。ウェイトはまた囀るように笑った。



『そんなに驚くことないわ。だって、アルティアとラフェエルちゃんは20年前この世界をまるごと変えてくれたのですもの。



 妖精神や精霊だって義理は忘れないわよ』



 「20年前…………噂の旅、というやつですか?」




 俺はそれとなく聞いてみた。

 旅のことはやっぱりわかんなくて、でも、知らないといけないと思ったから。



 ウェイトはそうねえ、とくねりくねり動いた。



『そうなのだけど、旅自体はどうでもいいというか。勿論、あのアルティアに救われた妖精神や精霊はいるけれど、殆ど半殺しよ半殺し。ワタシなんて滅茶苦茶痛めつけられたんだからっ!』


 ウェイトはそう言ってぷんぷんと怒って見せた。冗談の類か?なんて思ったけどアルティア皇妃のめちゃくちゃなところも知っている。あの人の事だから本当にしたのだろう。精霊相手に凄い人である。



 少し震えていると、『でも』とウェイトは言った。



『…………アルティアがワールドエンドに行ってなかったらと思うとぞっとするわ。龍神の支配を終わらせたのはアルティア達だから。


 この幸せだってなんだってアルティア達が身を削って頑張ったから。


 だからこそサクリファイス大帝国には妖精神、精霊はいないというのにみんな無償で恩返しをしている、ってところね』



  「へえ…………」



 常々不思議に思っていたけれど、やはりアルティア皇妃様とラフェエル皇帝様が頑張った賜物なのか、と改めて思う。妖精神がいなくともみんながサクリファイス大帝国を守っている。



 それは、とても凄いことのように俺には思えた。そして、こうも思った。




 「………ワールドエンドというのは、そこまで重要な場所なのですね」




『ええ。そうよ。アルティア達がワールドエンドに行って、常識を壊したからこの世界は平和になった。

 このユートピアに住む人間を、妖精神を、精霊を、全ての生き物を………アルティア達が守ったと言っても過言ではない。


 それだけの偉業を成したのよ、憎たらしいことにね』



 そう言うウェイトは憎まれ口ではあるけれど、嬉しそうだった。


 ………俺が足を踏み入れようとしているところは、そういう所なのだ。



 と!いうか!今契約をすれば、俺はワールドエンドに行けるのではないか!?キスはしたくないけれど、子供達やアミィール様のためなら………




 そう思い、ちら、とウェイトを見た。



『なあに?やっぱりワタシは魅力的?』


 「……………」



 オカマとのキスは、特に嫌だな…………変なところ触ってきそうなんていう偏見が頭を過ぎってしまう。というかこのゲーム絶対BLゲームだろ、なんなんだ契約をするにはキスしなければならないっていう設定は。理不尽を極めている気がする。



 セオドアはふるり、震えた。









※ご案内


詳しい物語は前作をご覧くださいませ。

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