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ファーマメント王国にて

 





 「____すごい」




 セオドアはぽつり、声を漏らした。

 目の前には大きな国が、雲の上に立っている。すごくメルヘンチック、だけれど………それ以上に、何故か懐かしい匂いを感じた。



 なんだ?これ…………



 「アミィ、俺、早く入りたい」



 「ええ。…………その前に」




 アミィール様はそこまで言って、空を見上げた。俺も釣られて空を見上げると___




 「ど、ラゴン…………!」



 ピンク色のドラゴンが、空中を飛んでいた。龍とは違う、トカゲのような見た目。ドラゴンはこちらを見ると、下降してきた。俺は慌ててダーインスレイヴを呼ぼうとしたが………アミィール様の御手が、俺の口を塞いだ。





 「____お久しぶりです、ウェイト様」



『その声は……やっぱりアミィールちゃんね♪はぁい!


 きゃあ!イケメンとイケメンのちっちゃいこ!』



 ドラゴンは図太い声で軽快に話しかけてきた。何が何だかわからなくて、アミィール様を見た。アミィール様はどこか冷めた目をしている。



 「____わたくしは遊びに来たのではありません」



『あら、じゃあなに?___もしかして、アンタの母親と同じようにこの国を支配しに来たのか』



 「………ッ!」




 急に低い声になって、思わず背筋が伸びる。悪寒が走った。これは、間違いなく殺気だ。何があったかわからないが、アルティア皇妃様絡みならろくなことでは無い。



 そう結論づいた俺は、アルティア皇妃様に言われた言葉を復唱した。



 「自分達はこの国に危害を加えません!空の妖精神にこの翼のことを聞きに来ました!…………どうか、私の娘を救ってください……!」




 セオドアはそう言って頭を下げる。ドラゴンは睨むのをやめて、ちらり、とセラフィールを見て目を見開く。


 そして、アミィールを再び見た。



『………他意は、ないのね』



 「ございません。………わたくしは、この王国で一切剣を、魔法を使いません。


 ウェイト様。どうか、どうか空の妖精神、スカイ様に謁見させてくださいまし」




 アミィールはそう言って頭を下げた。

 ウェイトと呼ばれたドラゴンは目を細めてそれを見てから、ピンクの光を纏った。



 「………ッ!」



 眩しさで、思わず目を瞑る。そして、収まった頃に目を開けたら___ピンク頭の坊主、青髭、胸元が広く開いた派手な服を着た___オカマらしき男が浮いていた。




『いいわよ。ワタシもその翼について詳しく知りたいわ。この国を守る___風の精霊として』



 「か、風の精霊!?し、失礼いたしました!」



 セオドアは勢いよく頭を下げた。ドラゴンが風の精霊!?どういうことだ!?


 混乱するセオドアの頭に『いいわよぉ♪』とねっとりした口調で言う。



『ワタシもアミィールちゃんの旦那チャンとお話してみたかったカラ♪あらま~いー男ねえ』



 「…………ウェイト様。お戯れはお辞めくださいまし」



『あらやだ、そんなに殺気出さないでよ。………貴方の顔、アルティアに似すぎているし性格はラフェエルちゃんだし扱いにくいんだから。



 それより、スカイ様に会いたいのでしょう?こっちよ』





 アミィール様が一睨みすると、ウェイトは苦い顔をしてくるりと背中を向けた。ヴァルを動かせ、後を着いていった。



 * * *








 「…………………ッ」






 ウェイトについて行った先には___大きな神殿があった。城ではない、神殿である。神聖な場所だと、思わせた。




 俺は胸の中にいるセラフィールを抱き締めて、アドラオテルを抱くアミィール様に続く。…………やっぱり、この匂い、知っている。心地いい、温かい………そんな、不思議な匂い。



 神殿の中は簡素なものだった。玉座の間に見えなくもないが、サクリファイス大帝国とはだいぶ違っている。



 そして、そこには。





 空色の髪をポニーテールにし、金色の瞳、鎧を纏った女騎士が座っていた。アミィール様がその場に膝をついたから、俺も慌てて膝をついた。




 「____空の妖精神、スカイ様。突然の訪問をお許しくださいまし」



『よく来たな。アミィール。そして____オーファン家の、者よ』












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