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大きな白い翼

 




 セオドアは優しく笑みを浮かべながら人差し指を口に立てた。すると子供達は顔を合わせて同じ仕草をとる。



 「しー?」



 「しー?」



 「そう。ママ、お疲れだからね、クッキーは後で」



 「まーま、ゆっくりねんねこ」



 「色気のない寝顔だなあ、もっとセクシーな母ちゃんがよかった」



 「ママはかっこいいもん、だからいいんだもん」



 「やだよ、男みたいな格好してさ~、………まあでも、父ちゃんが母ちゃんっぽいしいいけどさ」



 「なっ………!」



 とうとう子供にまでそう言われる日が来るとは……………。



 セオドアパパ・ショックである。




 そんなパパを放ってセラフィールは『じゃあわたくしたちでやりましょ!』と言ってオーブンの方に手を向けた。



 すると……………オーブンに入っていたはずのクッキーが紅銀の光を纏ってふよふよと浮いている。アドラオテルは腰に差していた大きなお皿を机に置くと、クッキーが勝手に綺麗に並ぶ。…………この通り、チートな子供達なのである。勿論、注意はしている。何でもかんでも魔法で解決しようとするのはよくないから。本人達も意識してるのかしてないのか、あまりしない。



 魔法が使えること、空中に浮くこと、龍になれること、常人の500倍の魔力を持っていること以外は普通である。………まあ、これが普通ではないんだろうけれど。





 「…………ん」



 「あ、アミィ。もう起きたのかい?」




 不意にアミィールが目を開けた。眠そうに目を擦りながら小さく頷く。



 「申し訳ございません、安心して寝てしまいました。はしたないですね」



 「ううん、………アミィは俺の奥さんだろう?甘えたい時に甘えていいんだよ。


 それより見てくれ、このクッキー、子供達が頑張って作ったんだ」



 「まあ!そうなのですか!でしたら、頂きたいです」



 「うん、食べておくれ。………っと、今紅茶を淹れるよ」



 そう言ってセオドアが立った時だった。




 「あう………ッ!」




 「………セラ?」




 セラフィールが突然自分の体を抱き締めた。ふるふると震え、涙目になっている。もしかして、代償____!




 「あぁぁぁぁっ!」




 「____!」




 セラフィールがそう叫ぶと同時に白く大きな翼が生えた。バサバサッと忙しなく動いている。



 「セラっ!」



 アミィールはすぐさま立ち上がりセラフィールに近づく。セラフィールは涙を流しながら自分を抱き締めている。



 「お背中、熱いよぉ………なんか、むずむず………ひぐっ………」



 「ッ、セラ………!レイヴ!」



 セオドアはすぐさま大声でそう呼ぶ。

 すると、ぱ、と青紫の長髪、黒瞳、黒い着物姿の男が現れた。___ダーインスレイヴ。サクリファイス大帝国皇族専用の魔剣で、幽霊だ。


 「なん___って、何事だこれは!?」



 「わかりませんっ!お願い、お母様達を早く呼んでッ!」




 「ああ!少し待っていろ!」




 ダーインスレイヴはそう言ってまた消えた。セオドアはすぐにアミィールとセラフィールに近寄る。アドラオテルもだ。




 「セラッ………!」



 「ねえ、父ちゃん」



 「なんだ、アド!……はっ」



 思わず、大声が出てしまった。すぐに口を抑える。しかし、アドラオテルはそんなこと気にしないと言わんばかりに言葉を紡いだ。




 「この羽根____父ちゃんの、ふゆうまほーに似てる」



 「…………!」









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