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悶々とする主人公

 





 そんないい雰囲気の中、アミィール様はそう言った。そして一転する視界。天井と、先程の女子の顔はどこへやら、意地の悪いお顔をしたアミィール様が俺を見下ろしている。




 「お話の最中も、わたくしに敬語を使いました。……………沢山、罰を与えなければなりませんね?」




 「え、いや、それは、アミィが、いつもと違って___ッ」





 アミィール様は俺の言葉を聞かずに、様々な所に唇を落とす。頬、額、鼻、………耳に至っては口に含まれた。



 すっかり立場が逆転している。どうしてこうなった?王子がやるならまだ分かるけど、これをやっているのは女で皇女様だ。



 もちろん、乙女の思考をもつ俺はとてつもない羞恥に襲われる。おまけに男であるから………その、………反応したくなくても、反応してしまう。




 「あ、あの、アミィール様………………」




 「また、愛称で呼んでくださらないの?………この膨らんでいるモノに口付けをした方がよろしくて?」




 「!」



 アミィール様はにや、と笑って太腿で俺のソレをぐい、と押した。ば、バレてるーーーー!キスより100倍、いや1000倍恥ずかしい!



 そう思ったセオドアはまるで女子のように真っ赤になった顔を手で覆って少し大きな声で言う。




 「あ、アミィ、頼むから、それ以上はしないでくれ……私が羞恥で死んでしまう……!」




 「ふふ、ではどのような顔をしているのか見てみましょう」



 「うわ!」




 「………!」





 その細い腕から出るとは思えない強い力で簡単に顔を覆っていた自分の手が退かされる。


 そして、アミィールは目を見開いた。




 乱れに乱れた群青色の髪、緑の瞳にはほんのり涙が浮かんでて、頬がいつも以上に赤く懇願するようなお顔。…………こんな顔を愛する人にされて、普通で居られるほどわたくしは大人ではなくて。



 もっと、もっとみたい。…………このような顔を、もっとさせたい。



 でも、これ以上してしまっては婚約者という肩書きだけでは満足できなくなってしまう。我慢よわたくし………………





 「………………セオ様、わたくし、セオ様が大好き_____」




 そう言って、涙目な愛おしい御方の唇に自分の唇を重ねた。女が押し倒しながらなどとはしたないと思われるだろうけれど、部屋には二人きり。たまにはいいだろう。それに。




 「ふ、ぅ、………」




 1度唇を交わすとあの涙目の子犬のような顔が一変してライオンのように求めてくださる。かぶりつくような、荒々しくも優しいキス。離れたと思えばすぐに磁石のようにくっつく唇。呼吸が出来なくなるほど熱烈なキスを受けていれば自然と身体の力は抜ける。



 そんなわたくしの身体をまさぐるように触れる大きな手。どこを触れられても不快に思わないのって、不思議。




 再び立場逆転。力の抜けたアミィールを抱き締めながら身体を起こし、押し倒して深く甘く少し乱暴な唇を、胸を少し揉んで再び顔を赤くし離れるまで受けていた。






 * * *






 「…………………」





 夜、セオドアは自室のソファでぼうっとしていた。正確にはただぼうっ、としていたのではなく、昼間の事を思い出していた。



 またこのソファで、アミィール様を押し倒して……………関係を深めようとしてしまった。最近毎日こんな感じだ。アミィール様がキスをしたら、俺は変な気持ちになって、自分を見失い、押し倒し、胸や触れてはならない聖域に手を滑り____ッ……………


 そこまで考えてセオドアは頭を抱える。不敬だ!こんな不敬を毎日!毎日しようとしてしまう自分が醜すぎる!いっそ自分のイチモツを切り落としてしまおうか?そうすればこの煩悩は無くなるし____「セオドア様」



 そんな事を考えていると、聞き慣れた声がした。頭を抱えたまま見ると、レイが立っていた。




 「なんだ?………今少し考えているんだ」




 「またアミィール様のことですか?」



 「な、なんでわかった!?」




 「………………ご自分のズボンを見てください」




 「?…………!」



 そう言われて見ると___ズボンにテントを張っていた。










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