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大人でもプールは心が踊る

 




 そんなことを思いながら子供達とプールで遊ぶ。セラフィールは最初こそ怖がっていたけれど、途中で慣れて浮遊魔法で浮きながら遊んでいた。



 アドラオテルは………まあ、アドラオテルで。アミィール様の腕からすり抜けて浮遊魔法なしで泳いでいた。本当に2歳だよな?というか俺の息子だよな?




 アルティア皇妃様はラフェエル皇帝と泳ぎ勝負で負けて膨れていたけれど、『こんなのもあったら楽しいよね~』と言って簡単にウォータースライダーを作ったり、レーンを分けたりしていた。ビート板のようなものを作ったりして結果テーマパークのような空間が出来ていた。




 ラフェエル皇帝様はひたすら泳いでた。無心。50kmを軽く泳いでいてこの人普通じゃないと思った。



 俺はアミィール様と子供たちを見守りながら他愛のない話をしていた。この世界で入るプールというのは新鮮で、素敵なくらいなんでも出来るな、と体感した。





 たまにはこんな日もあっていいな、なんて思いながら楽しんでた。





 * * *





 楽しかった…………とはいえ、だ。




 「パパ~!明日プール~!」



 「ママ!プール!あしたはプール!」



 「…………」



 「……………」




 セオドアとアミィールは苦笑いをしていた。



 目の前には_____真っ黒に焼けた双子達。夜で寝る前だと言うのにアルティア皇妃から貰った水着を着て、セラフィールはアルティア皇妃特製浮き輪と麦わら帽子を、アドラオテルはアルティア皇妃特製海中ゴーグルと水鉄砲を装備している。



 このとおり………プールの味を知ってしまった子供達は毎日のように『明日はプールにはいりたい!』と言うようになった。



 可愛い、可愛いよ?けれど俺もアミィール様も執務があるのだ。なのにこのプールちびっ子達は言うことを聞かず、挙句の果てには自分達だけでプールに行くものだから『プール時間』という時間を設けた程だ。それでもこう騒ぐのだから頭が痛い。




 セオドアは2人の頭を撫でながら言う。



 「明日はプールなしだよ。最近毎日入っているだろう?」



 「やだー」



 「やだー」



 「プール、今からプール!」



 「今から!?夜だし寝る時間だよ」



 「プールで寝る~」



 「…………………」




 …………この通り、子供達は元気いっぱいである。こういう時は情けないが………アミィール様に頼るしかない。



 「………アミィ」



 「ええ。………アド、セラ。プールが我慢できないのでしたらアドは美女の肖像画を、セラは魔術書を燃やしてしまいましょう」




 「……………セラ、ねよ」



 「……………そだね、アド」




 アミィール様のキラースマイルはすっかり定着しています。効果は絶大だけど俺にもダメージが来る。父親、俺なんだよな…………?



 セオドアは再びそんなことを思いながら抱きついてきた子供達の着替えをさせるのだった。





 * * *







 プールが出来たことで騒いでいるのは子供達だけじゃない。




 「せんぱーい!パース!」



 「きゃー!ちゃんと投げなさいよー!


 エリアース!パス!」



 「はーい!」




 「…………………」



 プールにはごまプリン頭のツインテール黒瞳で聖女………ビキニを着こなすフラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーン様と深緑の髪、黄緑の瞳の女王陛下……ワンピースを着ているエリアス・ラピュード・ヴァリアース様、そしてアルティア皇妃様だ。




 そんな各国の貴婦人たちが子供達が遊んでいる真ん中で子供達よりはしゃいでいるんだ。シュールだろう?とてもシュールである。全員美しいから麻痺をしているが、全員40歳近いのだ。初老の女性達が子供達よりはしゃいでいるのだ。




 「あの、みなさん、執務の方は………」




 「今はバカンスよ~萎えること言わないで頂戴」



 「そうそうっ!それともビキニ着る?」



 「ふふふ、涼しいですわ」




 「……………」





 この人たち本当に国のお姫様なのか疑問になるセオドアだった。













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