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物語は動き出す

 



 ゼグスの言葉に、首を振る。

 ワールドエンドの場所さえ知らなかった俺が知るはずがない。



 ゼグスが『そうだよね』と力なく笑った。


『つまりね、禁書庫に行けばいいという話じゃないんだ。


 満月の夜、龍神の遣い__龍神に仕える上位アンデッドの特殊な技を使い、そこに全妖精神を集め、屈服印と呼ばれる印を持った龍神の血を引く者、そして龍神と契約した者…………それらが揃わないと、道は開かれない』



 「そんなっ、それじゃあ………」



 龍神はもう居ない。

 破綻した話だ。ワールドエンドに行けないじゃないか。



 セオドアはじわり、と涙を浮かばせる。

 ……やっと、どうにか出来るかもしれない手段を得られたのに………



 そんなセオドアに、ドゥルグレは言う。



『諦めが早いぞ、セオドア。


 この世界に、___龍神では無いが、この条件を満たせている奴が一人いる』



 「___!それは、誰ですか!」



『アルティアだ』



 「アルティア皇妃様………?」




『そう。アルティアとラフェエルは契約を未だ切っていない、加えて___アルティアは屈服印を全コンプリートしている。その上、アミィールの傍に居るメイドは、上位アンデッドだ。



 つまり、行く手段はあるんだ』




 「ッ、本当ですか!?」



 セオドアは大きな声を上げる。子供達はびっくりして目を覚ました。でも、セオドアは止まらない。



 「ならば、今から私はアルティア皇妃様に会ってきます!今すぐワールドエンドに行きます!」



『気が早いっつーの。聞いたろ?満月の夜なんだよ。


 そして、アルティアは___動かないだろうな』



 「なっ………なんでですか!?」



『アルティアにとって、ラフェエルにとって。あそこはそういう場所だからだ。


 ___無力な男にあの場を踏み荒らされたくないだろう。家族だからこそ、な』



 「___ッ」




 無力、という言葉が重くのしかかった。

 事実だから。………仮に人柱をどうにか出来ても、その先のことを俺は考えられない。僅かな可能性だけで動くには__情けないことに、自信はなかった。



 ドゥルグレは追い打ちをかけるように言う。



『あの場所はアンデッドの巣窟。並大抵の人間じゃあ息をするのもやっとだろう。たかだか契約印を5つ持っただけでは死神や精霊は滞在を許可しない。入れたとしてもアンデッドに殺される可能性だってある。



 クソ女は分かっているだろうがな』





『だから___"今の"君では無理だ』



 ゼグスの言葉に、一筋の光を見つけた。

 セオドアは涙を流しながら、その光を掴んだ。



 「……………今の?」



『そうだ。_____セオドア、あと2つの契約印を手に入れろ』



 「___!」



 契約印、という言葉に背筋が伸びる。

 ゼグスは付け足すように言う。



『君自身が貰う必要は無い。アミィールでもいいし、子供達でもいい。全員で…………契約印を手に入れるんだ。


 力を手に入れるだけではない。"妖精神や精霊を味方につける"んだ。



 そうすれば、アルティアを全員で説得できる。"セオドアは強い"と言える。


 ワールドエンドに居る死神も、闇の精霊もお前を歓迎するだろう。



 しかし、知っての通り___妖精神も精霊も神だ。簡単に人間に契約を与えるとは思えない。


 お前の武器を活かすんだ』




 「……………俺の、武器…………」




 俺は自分の掌を見る。水色の契約印が張り付いている。……俺の武器って、なんだろう。



 「ぱぱ!」



 「パパー!」




 「………!」








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