『幻の島』 #とは
なぞかけのような言葉。
確実はないけれど、可能性はある?
どういうことだ?
困惑するセオドアに、ゼグスが言った。
『"代償"は魔力によって脆い身体を蝕む………というのは、知っているね?』
「…………はい」
『けれど、実は"代償"だけが身体を脆くしているわけではないんだ』
ゼグスはそう言って、太陽神を見た。太陽神はひとつ咳払いをしてから、代わりに言葉を紡ぐ。
『俺はよ、アルティアに従わされているからわかるんだが………アルティアの魔力は"混ざり"があるんだ』
「『混ざり』………?」
『そう。闇属性の根底にある___"呪い"。………初代龍神にかけたといわれる、"呪い"だよ。
その呪いは何度も言うが強力だ。ただでさえ脆い身体に呪いの負担がある。きっと、クソ女もクソ女の娘も__お前の子供たちも、生活する上で感じているはずだ。
それが"普通"なんだと信じてな。
でも、勿論普通じゃないから、代償と呼応し発作を引き起こす。……これが、多分お前の娘が倒れた原因だ』
「____ッ、呪い………」
セオドアは反芻するように言葉を噛み砕く。呪いイコール代償ではない、代償と呪いが独立して、お互いに影響し合い、発作が起きる。代償は独立したものだから、どうにもならないけれど………呪いなら。
「呪いなら___なんとか、なるんですか」
セオドアが真っ直ぐ見すえてそう聞くと『そう言うと思ったよ』とドゥルグレは言った。
『前無理だって言った時納得してなかったからな、調べてやったよ。お前の血を隠れて盗んだりしてな。
可能性があるのはそこだ。___呪いをかけている人柱に、お前の血をかけてみる。上手く行けば呪いは解かれる』
「!それは、それは本当ですか!?」
セオドアはドゥルグレに詰め寄る。しかしドゥルグレは厳しい顔をした。
『上手く行けば、だ。お前の血は生き物を復活させる血なんだろう?なら、命を捧げた人間達を復活させれるかもしれない………いや、10万年前の人間だから、器が壊れているかもしれない。
何はともあれ、可能性はゼロではないと思う』
その話が本当であれば、代償の抑圧がもっとできるじゃないか!代償がすぐにどうにもならなくても、負担が減ればそれだけ発作も減る!なら、試してみる価値はある!
「その人柱はどこですか!?ゼグス様、貴方は私に見せてくれましたよね!?
どこですか!」
セオドアはドゥルグレから離れて、次はゼグスに詰め寄った。ゼグスは目を伏せながらぽつり、と言う。
『____"幻の島"、ワールドエンド』
「ワールドエンド…………!」
RPGゲーム風の名前だが、アミィール様が倒れた時に聞いた言葉である。
もちろんその時も今も調べている。でも、未だにそんな島を地図で見たことがない。
「どこなんですか、そこは」
『ここだよ』
「………え?」
ドゥルグレを見た。ドゥルグレは4つの腕で下を指していた。
『ワールドエンドは、この城の禁書庫だ。そこにある』
「なにを………ふざけないでください!」
『巫山戯てないんだ』
ゼグスは憤るセオドアを静かに諭した。
そして、続ける。
『幻の島、ワールドエンドは元サクリファイス大帝国。異空間、このユートピアの地下………色々言い方があるが、そのような場所だ。
"満月の夜、龍神の側近が導く隠された地下の祭壇、全妖精神の力を持って幻の島に降り立つ"
……………この意味が、わかるかい?』
「……………?」
※ご案内
『幻の島』については前作を参照下さい。
この先の物語は動き出していますので前作が絡みついてきます。
『なんの設定?』と思うものは大抵前作なので元々どんな設定なのか気になって下さる方は前作を読んでくださると幸いです。




