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主人公、始動

 







 「…………ほんとうに、よろしいのでしょうか」



 アミィールはそう言って眉を下げる。セオドアは優しく笑って頷く。



 「ああ。セラとアドは私に任せて。今日はラフェエル皇帝様にお願いして1日何もしなくていいと言われたんだ。


 アミィは執務があるだろう?重要な事柄だってある」



 「……娘が倒れているのに、仕事など………」



 「アミィ」



 セオドアはアミィールを抱き締める。

 そして、優しい声で言った。



 「子供達は勿論大事だ。けれど、国民を、国政を蔑ろにしてはいけない。


 私に頼っていいんだ。……私だって、父親なんだよ?」



 「……………セオ様、わかりました。


 早く終わらせ、すぐに帰ってまいります」



 「ああ。待っている」




 セオドアとアミィールはお互いの頬にキスをしていってらっしゃいをする。アミィールを見送ってから、セオドアは自分のベッドを見た。



 セラフィールとアドラオテルが眠っている。アドラオテルはさっきまで起きてたんだ。『セラが起きるまで俺が起きてなきゃいけないんだ!』と可愛く言っていたが、まだまだ2歳。育ち盛りだ。眠いに決まっている。



 セラフィールの事もあるけれど、1日休みはありがたい。………存分に、調べることができる。



 セオドアはオレンジ色の手の甲と腕に張り付いた紫色を見た。

 そして、呟く。




 「____太陽神様、星の妖精神様、お知恵をお貸しください」




 そう言うとふたつの光が煌々と輝きだし___小さな太陽神・ドゥルグレと、小さな星の妖精神・ゼグスが現れた。2人は基本呼び出す時はこのサイズなのだ。妖精のようで可愛い。



『なんだよ、セオドア』



『やあ、セオドアくん』



『げっ、なんで元人間が居るんだよ』



『禁忌の神まで居るとは聞いてなかったなあ』



 2人は呑気に話し始める。2人の掛け合いを見ている気分にはなれなかった。



 「2人とも、来ていただき感謝です。


 ___お聞きしたいことが、あります」



『?』


『?』


 セオドアは静かに問いかける。



 「復活の『代償』を完全に消すことは可能ですか?」



『それは前にも言ったろう。無理だ。

 お前の力は"器"がありきの力だ。肉体という"器"を治して、そして器に魂を戻す』



 ドゥルグレはそう言って耳をほじった。次に答えたのはゼグスだった。



『その"器"自体にヒビが入っているんだ。そして、その器は人間や草木のようなものでは無い。"最上の神"の器。初代龍神の血を脈々と受け継いできた__歴史ある器だよ。"器を入れ替える"秘術があれば、救いようがあるが、それは残念ながら、ない。


 そもそも、アルティアが"器"を取り戻したのでさえ奇跡。それ以上は…………今の時点では、何も変わらない』



『そうだ。時代が変わればまだ打開策はあるかもしれねえ。


 けど、今はない。どんなに探しても"無"だ』



 「ッ…………」



 無理だと断言されると、凹む。

 そもそも復活なんて方法自体が奇跡なのは知っている。それ以上を望むのが間違いだとも知っている。



 けれど。諦められない。



 「___では、質問を変えます。


『代償』を確実に抑圧できる方法は、ないのですか?」



 そう聞くと、2人は顔を合わせた。

 何かを目配りしているようにさえ思えるそれは、長くは続かなかった。




『確実なものは___ない』



『けれど、可能性は___ある、といえばある』



 「………!」









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