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皇帝は認めてない

 






 アミィール様の言葉に気づく。

 皇帝___ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスがいないのだ。



 アルティア皇妃はあー、うー、と呻き声を上げてから、アミィール様の視線から逃げるように黄金色の瞳を逸らした。



 「…………………意地でも会わない、って逃げ出しちゃった」



 「…………!」




 に、逃げ出した?皇帝が?

 呆然とするセオドアを他所にアミィールは極悪面を作る。




 「あの排泄物………………!」



 「あ、アミィール様………お口が悪うございます」



 それはもう美人なお顔が怒りに歪んでいる。ここまで優しいアミィール様を怒らせるなんて…………緊張を通り越して興味さえ抱く。



 そんな事を考えているセオドアと、怒りに燃えるアミィールを見て、うーん、とアルティアは唸る。





 「歓迎パーティもしないって豪語した上すっぽかすのはさすがにいけないわよね。いいわ、呼び出しちゃいましょう。


 転移魔法」




 「なっ…………!」




 「!?」





 アルティア皇妃がパチン、と指を鳴らすと____紅銀の髪、紅い瞳、豪奢な服の上からしっかりした体つきの分かるイケメンが現れた。もう、ほんと、イケメンだ。紛うことなきイケメンだ。俺ではなくこの男が主人公であればもっとゲームは売れていただろう。




 そんなイケメンはアルティア皇妃を見てとても低い声を出した。




 「アル……………貴様何をしたか分かっているよな?罰がそんなに欲しいか?」




 「罰はいくらでも受けるわ。………それより、ちゃんとアミィとセオドアくんの歓迎をしなさいよ」



 「歓迎だと……………?ふざけるな。


 おい小僧」



 「ッ……………!」




 低く、冷たい声を発しながら男_きっと皇帝だろう_が、俺を睨みつけた。

 鋭い眼光に、足がすくむ。こ、この人がアミィール様の…………あ、挨拶……………



 「お初「私は貴様を歓迎などせん!」ッ!」



 挨拶をする前に怒鳴られた。

 しかも歓迎しない、と断言されたのだ。



 その言葉にアミィールの怒りはとうとう最高潮に達した。




 「お父様!いい加減になさってください!セオドア様に謝って!」



 「……………アミィ、お前は自分が誰に何を言っているのか理解しているのか?」



 「皇帝で偉大なるお父様に、わたくしがお慕いしている婚約者に頭を下げろと申しているのです」




 両者引かず睨み合う。漫画であれば火花が散っていることだろう。

 …………どうやら、自分は認められていないようだ。当然だ、俺は他国の公爵で主人公であること以外なんの取り柄のない凡人なのである。



 それよりも、親子で剣を握り始める2人を止めなければ……………





 「あ、あの!」




 間に割ってはいる。何をすればいいのかわからないけれど、それでも黙って見てはいられない。



 「私が未熟で礼儀を尽くせなかったことは謝ります。申し訳ございません。ですので、喧嘩はなさらないでください!」



 「セオドア様、貴方になにも非はございませんわ。危ないのでお下がりくださいまし」



 「小僧、私の前に立つと言うことは死ぬ覚悟が出来ているということだな…………?」




 あ、だめだ。これ止まらないやつだ。いやでも、これで争われるのはいやだ。

 


 もうどうすればいいのかわからない俺を助けるように、アルティア皇妃が俺の肩を抱いた。



 「うん、話はしたしもういいわ。


 転移魔法」



 「…………!」




 そう言うとふ、と皇帝が消えた。

 こんな風にポンポンと転移魔法を使っているけど、この魔法はそれはもう珍しく難しい魔法なのだが……………




 「すごい……………」



 「あら、お上手ねえ、流石私の息子!」



 「……………お母様、10秒で離れなければ殺します」



 「そのすぐ殺すっていうのやめなさいよ。


 よろしくね、セオドアくん」




 そう言ってアルティア皇妃はにっこり笑った。……そんなこんなでドタバタした挨拶は終わったけれど、皇帝に好かれる道は遠そうです……













※陛下、殿下呼びについての裏設定

サクリファイス大帝国皇族は『陛下』、『殿下』呼びが嫌いなのでサクリファイス大帝国に住む者は殆ど『様』と呼びます。

これからの記載も殆ど『様』です。


我儘親子です。



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