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『女装大会』、開幕

 



 サクリファイス大帝国・闘技場。


 此処は古くから軍事国家と呼ばれていたサクリファイス大帝国が誇る場所で、演説等の際はよく使われることが多い。






 が、今日は演説ではなく_____『第1回女装大会』が開催されるのだ。






 前回の皇族たちの演説により大会化したこのイベントを見るため、参加するためだけに国民達はこの大きな闘技場に足を運び、既に満杯状態である。観客達が見守る中、沢山の美女………ではなく、美しい男達が女装をしていて、国民達が審査をしている。




 それを一番見渡せる場所に____サクリファイス皇族一同は揃っていた。









【「きゃー!可愛い、みんな可愛いじゃない!けど、髭はちゃんと剃らないとだめだめ!


 解説のラフェー………じゃなくて!ラフェエル皇帝様!聖女様!ヴァリアース大国女王陛下様!あの人美しくない!?」



「……………気色悪いな」


 「顔はいいんだけどー、クオリティは若干抑え気味よね?物足りないわ」



 「ですがそれはラフェエル皇帝様とセオドアを見てるからでございますわ」】




 「………………」



 「………………」





 デジャヴである。また恥ずかしい演説を聞いている。悪夢『下克上闘技大会』の再熱だ。おまけに今回はサクリファイス大帝国皇族だけではなく、来賓にセイレーン皇国の皇女兼聖女のフラン様とヴァリアース大国の女王陛下、エリアス様がいらっしゃっている。2人とも国をほっぽり出して来てますけど大丈夫なのだろうか。




 ……………なんて、突っ込む余裕などない。

 何故なら、俺達は………………女装をしているのだから。



 そう考えるだけで恥ずかしく、惨めになる。わかっているんだ、俺が決めて腹を括ってここに来たのだ。けれども、ギリギリになって嫌になっているんだ。ああ、俺はビビりでヘタレで格好悪いのだ。




 いくら開き直ったって恥ずかしいものは恥ずかしい。やばい、泣きたく___「セオ様」…………ッ!



 そう思っていると、いつもかけられる凛とした声。男装をしたアミィール様のお姿が。長い紅銀の髪をポニーテールにして、王子様が着るような赤と金をふんだんに使われた正装をしている。腕に抱かれたセラフィールもお揃いだ。勿論、作ったのは俺。素材がいいから張り切って作った。癒しである。




 「セオ様、とてもお似合いですわ。流石セオ様でございます。…………今見てしまうのは少し、もったいない気もします」




 「アミィに褒められると、自信がつくね…………変なのは自覚しているけれど、それでもアミィには喜んで欲しい」



【「いつもしている女装よりクオリティ高いじゃない!」



 「セオドアくんはやっぱりそういう趣味!?」】



 「声拡張しながら誤解を招くことを言わないでください!……ったく」



 「…………それより、そろそろ出番だ。行くぞセオ」



 「…………はい」



『女装大会』のルールは殆ど『下克上闘技大会』と一緒だ。

 各地で行われた選りすぐりの女装男子を6人集めて、皇族も6人集め、一対一で評価をしてもらう。皇族の男は3人しかいないから、側近たちが代わりに出る。





 ガチンコ勝負、ではあるのだけれど…………種目が女装だから、なんというかしまりのない感じである。



 「セオ様、アド、がんばってくださいまし!」



 「ああ」



 「あーい!」





 皇族達は側近を連れて会場に向かったのだった。

















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