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執事も巻き込む

 





 「なあ、レイ、このドレスはどう思う?」




 「いいんじゃないか?」




 「テキトー言うなよ」



 「…………それよりも、なんだこれは?」





 執事のレイは会話を切って部屋を見る。部屋には___沢山のドレス。結婚式の時よりは少ないが、それでも多い。様々な色の、様々な柄のドレスが沢山ある。ところどころ小さいドレスもあるから大方アミィール様とセラフィール様のだろうとは思ったのだが…………




 ふと、違和感。

 レイは近くに落ちていた黄色のドレスを手に取って聞く。




 「これ、アミィール様が着るには大きすぎないか?ウエストもゆるい。珍しいな、セオドアが間違うなんて」




 「?いいや、着るのは俺だから」




 「………は?」



 レイは思わずドレスを手放す。

 何を言っているんだこいつ?セオドアは小さな緑色のドレスを手に持ちながら言う。



 「これはアドラオテルのだ。今作っているのは俺とアドラオテルのドレスなんだ」



 「…………いやいやいやいや、何をやっているんだお前は?」



 「何度も言わせるなよ、ドレスを作っているんだ」


 「だからなんでドレスを作って___っわ」


 セオドアと話している途中、近くにいたアドラオテルがレイの足にくっついてきた。片足を抱きながらに、と笑う。



 「俺はじょそーたいかいでじょそーするんだッ!


 1番のビ、ジ、ン♪になるんだぞ!」



 「………………アドラオテル様、どういうことですか?」



 「えっとね、ばーばがね、じょそーたいかいするからでろーって!


 だから俺は女の子にモテモテなドレス姿をみせるんだッ!」



 「…………………」




 アドラオテルはそう言って近くに落ちていた水色のドレスを手に持ちクルクルと回る。そのまま宙に浮いてアハアハと笑っている。セオドアはミシンを止めた。




 「………そういうことだ」



 「お前、とうとう、心まで女になったのか?」



 「は?」




 「いやあ、お前ならいつかはそうなると思っていた。やっぱり乙女心が行きすぎだもんな。


 いやでも、お前が女だろうが男だろうが俺はお前の友達で居続けてやるからな………」



 そう言って口元を抑えて涙目になるレイ。…………勘違いもここまで行けば清々しいな。


 とはいえ。

 自分のドレスを作っているなんて知ったらそんな反応もする、か。



 セオドアは触り心地のいいドレスの生地に触れる。そりゃあ、女装はしたくないさ。けど、アミィール様が楽しみにしているんだ、やらない訳にはいかないだろう?



 「アミィール様がお喜びになるなら俺は喜んで女になるさ。それよりレイ、お前もだからな?」



 「は?やだよ」



 「いや、これはアルティア皇妃様のご命令だ。男側近一同は全員女装だ。『笑いのネタになる』と大爆笑して為さったぞ 」




 「…………いや、俺は男だし…………」



 「実はもうお前の着るものは出来ているんだ、ほら」




 セオドアは意地悪な笑みを浮かべて、バニーガールの服を見せた。レイはさ、と顔から血の気を引かせる。



 「ふ、巫山戯るな!俺はお前と違って男だよ!」



 「俺も男だ!たまには俺と同じ気持ちになれ!そして国民の前で恥を晒せ!」



 「ぜったいやだ、おれそんなことしたら娼婦処に行けないじゃないか!お前だけしろ!お前は似合うから!かわいいかわいい!」



 「お前も道連れだ~!」


 「巫山戯んな~!」



 レイとセオドアは掴みかかりあいの喧嘩をする。沢山のドレスが舞う中、アドラオテルはやれやれ、と呆れながらドレスの山に埋もれたのだった。





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