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『呪い』の原因は

 





 涙ぐむセオドアを見て、ゼグスは『ふむ』とひとつ声を上げてからセオドア以外の全員に言う。



『なあ、シヴァ、久しぶりの子孫だ。少し話しておいでよ。


 アミィール、君も転移魔法を使ったのだろう?子供達は私とセオドアくんで見ているから寝ておいで』



『?おお、わかった。いこう、ガロ』



 「はい」



 「わたくしは、大丈夫ですわ。___セオ様に、なにか御用ですか?」




 アミィールはぎゅう、とセオドアの腕を抱き締める。ゼグスは柔らかい笑みを浮かべて言った。




『アミィール。男はね、男同士で話したいこともあるんだ。


 君もわかっていると思うが、私は子孫が全員好きだ。子孫がどういう配偶者を選ぶか気になるんだよ。



 大丈夫、何もしないと約束する。……信じて』




 「…………は。セオ様、申し訳ございません。わたくしは席を外します」



 「あ、うん。………ゆっくり、やすんで」



 「はい」




 アミィール様はひとつ笑みを浮かべてから、ガロ達と共に部屋を出ていった。俺とゼグス、子供達の4人となった。



 ゼグスは1番近くにいたセラフィールを抱き寄せる。びくり、と肩を揺らすが、セラフィールは泣かず、素直にそれを受けた。



『ん、とてもいい子だね。賢い子だ』


 「せら、かしこい?」



『ああ。…………ねえ、セオドアくん』



 「は、はい!」




 セオドアは勢いよく返事をする。

 き、急に二人きりになってしまった…………いや、子供達は居るけど、子供達は動物に近いからな……………けど、話って何をすればいい?俺、転生してからコミュ障になったのかな?ううん、話題、話題………




『____君に、謝りたかったんだ』



 「……………え?」




 ゼグスはぽつり、そう言った。

 俺は顔を上げた。ゼグスは___今にも泣きそうな顔をしていた。



 その顔で、セラフィールを撫でながら続ける。



『さっきも言っただろう?___呪い、のこと。


 あれの全ての元凶は____私なのだ』



 「ッ………どういう、ことですか?」



 俺はその言葉に背筋を伸ばし、真っ直ぐゼグスを見た。ゼグスは『まずは龍神のことについて話そう』と言った。




『10万年前は人間同士の戦いが各地で繰り広げられていた。沢山の人間が死に、沢山の生き物が死んだ。


 生き物には"魂"がある。人間は勿論だけど、動物にも、草木にも、この世界にある全てのものが魂を持っているんだ。この魂は___"思い"とも"心"ともいえる。




 死にたくない、生きたい、戦いたくない、強くなりたかった、………沢山の、沢山の"思い"が溢れかえったんだ。その思いは、本来このユートピアのエネルギーとして巡り、新たな生き物を生み出す力に使われる…………はずだった。無念な"思い"を抱えて死んでいった沢山の魂は、輪廻転生の輪を乱し___新たな生命を生み出した。



 それが………………"初代龍神"だ』




 「…………………」



 こうして、ちゃんと説明を聞いたのは初めてだった。大方はラフェエル皇帝が話した通りの内容。人が人を殺し合い、戦をし、人間や生き物の沢山の魂が、思いが生み出した___生き物。


 ゼグスは続ける。




『初代龍神はこの世界が作り出した"亡霊達の思い"なんだ。


 ____人間達はその初めて見る生き物を見て恐れ戦いた。龍神は暴れた。沢山の人が、生き物が殺されていく中___1人の"男"は立ち上がった。人間同士で争っている場合じゃない、と。



 男は自分の持つ全ての権力を使って争っていた国々と和解し、妖精神、精霊に懇願した。"力を貸してくれ"と。妖精神も精霊も突然現れた龍神に恐れていた。"その男"に力を与え、妖精神、精霊自身も戦いに出た。それが"終末戦争"と呼ばれる。


 結果として"その男"達は負けた。そして、その代償として___妖精神、精霊、そして"その男"の命を差し出した。



 けれど____それでは、終わらなかったんだ』














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