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家族旅行イベント発生!

 




 「確かに、他国との繋がりは薄いのですが、あの国の王はこの国の皇帝とわたくしの先祖の星の妖精神・ゼグスと氷の精霊・シヴァの2人が治めている国で、20年前からシースクウェア大国、ヴァリアース大国、セイレーン皇国と最低限貿易をしております」



 「………!」


 星の妖精神、という言葉にセオドアは反応する。結婚する前に一度だけ会ったことがある。乙女ゲーム『理想郷の王冠』の攻略対象キャラで女性人気が1番高いラフェエル皇帝そっくりのイケメンだ。


 アミィール様がいくら俺を愛してくれているとはいえ、1人で行かせたら恋愛フラグがあるかもしれない。これはなんとしてもついて行かねば………って、またこんなことを考えている俺は本当に浅はかだな。


 セオドアは首を振ってから再び言葉を紡いだ。




 「そうなのか…………私が無知なだけだったのか」



 「そうではございません。

 …………あの国はとても特殊なのです。


 あの国を詳しく話してしまうと、沢山の人間達が足を運び、悪事に働いてしまうでしょう」



 「…………?」



 アミィール様はそう言って少し悲しそうな顔をした。これは詳しく聞いていいのだろうか………まさか、また龍神絡みなのだろうか…………



 そんなことを考えていると、『パパー!』とセラフィールが抱きついてきた。俺は考えるのをやめて抱き留め頭を撫でる。



 「どうしたんだい、セラ」



 「あのね、アイスバーンにはね、ゆきがいつも降っているんだって!」


 「へえ、そうなのか」



 「わたくし、ゆきをみたことないからみてみたいです!」



 セラフィールが目をきらきらとさせてそういった。雪がいつも降っている………?俺も知らない情報で、ちらりとアミィール様を見た。アミィール様はこくん、と笑顔で頷いた。




 「そうなのです、アイスバーンは一年中雪が降り注いでいます。氷の精霊・シヴァ様がいつも魔力を使うために降らせているのです」



 「そうなのか………!」




 セオドアは年甲斐もなく目を輝かせる。

 勿論故郷のヴァリアース大国でもここサクリファイス大帝国でも雪は降る。けれども、それは冬の時期でもほんの僅かなのだ。


 雪景色に、愛おしいアミィール様のお姿、そして『寒いね』なんていいながらポケットに手を入れて繋ぐ………それは乙女男子的にも男としても見たいしやりたいシチュエーションである。



 セオドアはそれを想像して顔を緩めて『それは是非見たい』と言葉を漏らしながらうっとりとした。



 それを見たアドラオテルははあ、と大きな溜息をついた。




 「パパ、俺達のそんざいわすれないでよ」



 「な、わ、わかっているさ!アドとセラと雪遊びをしたいなと、おおお、思っただけで………」



 「うそばっかり、ママといちゃいちゃなんてさせないよ」



 「……………少しぐらい妄想してもいいじゃないか」




 息子の言葉に口を尖らせる父親、ここに爆誕。最近、喋れるようになってから何かとこう突っ込んでくるのだ。1歳の癖にこういうことばっかり鋭く冷たい。赤ん坊の頃から気づいていたけどコイツは俺の事嫌いなんじゃないか………?




 そんな会話を聞いていたアミィールはくすくすと笑う。




 「セオ様とアドは本当に仲良しさんですね」



 「な、仲良しなのかな…………なあ、アド」



 「なわけないじゃん。わかってないなあ、ママは」



 はあ~と嫌そうな顔をするアドラオテル。全くもって可愛くなくて生意気だ。どこかませているのがさらにムカつく。しかし、心優しいアミィール様がこのような事で怒らない。



 「ママは2人が仲良しでとても嬉しいです。ねえ、セラ」



 「う~ん、けど、パパ、なきそうだよ?」



 「う…………」



 もしや俺、この家族の中で1番ヒエラルキーが低いところにいるのではないか………?妻には慰められ、息子には貶され、娘には心配され………俺、夫で父親なんだよな………?





 若干凹んだセオドアでした。







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