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アイスバーンへの出張

 






 「ええっ、アイスバーンへ出張!?」




 群青色の短髪、緑色の瞳のセオドア・リヴ・ライド・サクリファイスが素っ頓狂な声を上げた。


 彼はギャルゲー『理想郷の宝石』の主人公に転生したが攻略対象キャラを選ばず断罪イベント発生、その際に妻に求婚され結婚し子供達も設けた幸せいっぱいの乙女男子だ。




 「そうなのです………………」




 その乙女男子の言葉に申し訳なさげに応えたのは紅銀の長髪、黄金色の瞳の美女、サクリファイス大帝国の皇女でセオドアの妻、2児の母親であるアミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。




 アミィールは続けた。



 「アイスバーンでやらなければいけないことがございまして…………どうしても行かなければならないのです」



 「そうか…………」



 セオドアの声も顔も暗い。

 いくら仕事とはいえ、妻と離れるのが嫌だからだ。それに…………


 セオドアはちら、とソファを見る。



 「だから、アドいーたーい!」


 「セラうるさーい」



 1歳半を迎え、拙い言葉で取っ組み合いをする双子、紅銀の髪に黄金色と緑色の瞳の娘、セラフィール・リヴ・レドルド・サクリファイスと群青の髪の紅色と黄金色の瞳の息子、アドラオテル・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。可愛い可愛い子供達なのだが、最近歩けるようにもなり活発になっている。この子達2人を纏めて面倒見るのは容易ではない。




 「セオ様、やはり厳しいでしょうか…………?」



 「いいや、………仕事なら、仕方ないよ」



 そう言って力なく笑うセオドアに、アミィールは眉を下げる。本当はついて行きたいけれど…………ん?ついて行く?


 セオドアはそこまで考えて、ぽん、と手を叩いた。



 「ねえ、アミィ、それは私達がついて行くことは可能なのかい?」



 「え?それは出来ますが…………セオ様、お仕事が沢山あるのでは………」



 確かに俺は皇配として、皇族としての仕事は沢山ある。やらなければならない事柄は歳を追うごとに増えていっている。けれど。


 「私もアイスバーンに行ってみたいんだ。…………急ぎの仕事なのかい?」



 「いいえ、出立は正直いつでもいいとの話で受けておりますので…………」



 「なら、1週間だけ待ってくれ。そうしたら必ずついていけるようにする。ラフェエル皇帝様にも仕事中に聞いてみようと思う」



 セオドアはそう言って目を細める。

 最近、ラフェエル皇帝様の仕事も手伝っているのだ。主に来城した国民達の意見を共に聞き、どうすればいいのか意見を出すという仕事で、決して血なまぐさいものではない。



 それを聞くとアミィールは顔を綻ばせる。



 「セオ様がいらしてくれるのでしたら心強いですわ!………本当は、わたくしもセオ様と子供達を連れて行きたかったのです。



 アイスバーンはとても素晴らしい国なので、1度見せたいと思っていて………」




 「アイスバーンという名前は知っているけれど、あの国はたしか鎖国国家だよね?サクリファイス大帝国は関わりがあるのかい?」



 俺は聞いてみた。

 アイスバーン………この世界・ユートピアで大きな国の1つなのだが、唯一サクリファイス大帝国を囲んでおらず、サクリファイス大帝国からずっと北にある鎖国国家である。…………と、学園に通っていた時に学んだだけの知識しか無い。それだけ謎の多い国なのだ。それがサクリファイス大帝国とどんな繋がりがあるのかわからなかった。



 しかし、アミィール様は『正確には鎖国国家ではないのです』とにっこり笑いながら言葉を紡ぐ。











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