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男の友情、誕生

 






 ______20分後。




 「ぜえ…………ぜえ……………!」




 「はあっ、はあ…………!」




 「……………」



 セラフィールは冷めた目で見ていた。

 アドラオテルとセフィロト様は20分も戦い続けた。セフィロト様はわたくし達のように浮いたり出来ないけれど、上半身だけで剣を振るうのはうまかった。これにはアドラオテルも戸惑い、いつの間にか真剣勝負をしていた。



 ボロボロになった2人は顔を上げて言う。



 「な、なかなかやるじゃん……………子供のくせに」


 「そ、そっちも…………中々、やるじゃん…………」



 「……………少しくらいならセラを触っていいよ、俺が許す」



 「やった…………」



 「セフィロト、楽しかった…………」


 「…………セフィ、と呼んでくれ、アド」



 「!………仕方ないなあ、呼んであげなくもない」



 2人はずりずりと近づいて、ガッ、と拳を合わせた。セラフィールは真顔で『何を見せられてるのかしら………』なんて思っていた。






 * * *




 「………」



 「………」




 セオドアとセフィアは言葉を失っていた。何故なら_____



 「せふ、あしょぼ」


 「あうー!」


 目の前でセフィロトとアドラオテルが剣で遊んでいたからだ。二人で剣をぶんぶんと振り回している。昨日まであんなに険悪だったのに、今では笑みさえ浮かんでいる。



 「いつの間に仲良くなったんだ?この2人………」



 兄上も同じことを思ったらしく、そう俺に聞いてきた。俺もわからない。朝起きてアドラオテルとセラフィールがいないと思ったら兄上が『遊んでる』と言っていて、今に至るのだから。



 セオドアはセフィロトとアドラオテルに近づく。



 「ロトくん、アド、2人はどうして仲が良いんだい?」



 「おとこ、きじゅな!」



 「うむ!」



 「………………」



 だめだ、全くわからない。

 その様子を見ていた女性陣はくすくすと笑う。



 「仲良しですね、アドとセフィロト様は」



 「ええ。やはり男の子同士遊ぶのはいいですね」




 「あぶぶ!」



 「いーよ」


 

 「え!?」


 セフィロトが何かを言うとアドラオテルはセフィロトをおんぶして浮いた。赤ん坊が赤ん坊をおんぶしている………!?



 アドラオテルはふらふらとセフィロトをおんぶしている。見ていられなくて手を貸そうとしたら『シャー!』と猫のように威嚇された。触るなということだろう。だから落ちた時キャッチできるように下に手を添えた。




 セフィロトをおんぶしながらアドラオテルが向かったのは___セラフィールの所。セラフィールはげっ、と漏らして嫌な顔をする。しかし男の子達は満面の笑みだ。



 「しぇら、おーじ」



 「あぶぶ!」


 「おーじ、やーや」


 「?」




 セラフィールはそう言ってアミィール様の胸に顔を埋める。それでも執拗な男の子達は近づく。……アドラオテルとは仲良くなったようだが、セラフィールとは心の距離が出来ている気がした大人一同だった。

 



 * * *




 「ふふ、よく眠っていますわ」



 サーシャは小さく笑う。目の前には___セフィロト、アドラオテル、セラフィールが手を繋いで寝ている姿。3人が兄弟のように仲良く寝息を立てている。隣で見ていたアミィールも頬を綻ばせる。



 「よかったですわ、本当に3人とも仲良しですね、セオ様」



 「そうだね、いいことだ」



 本心である。先程は驚いたけれど、それでも身内同士が仲が良いのはいいことで、全員可愛いから癒される。ほっこりした気分のセオドアに、セフィアはにやにやしながら言う。



 「なんだぁ?なんだったら本当に兄弟にしちゃうか?セラとロトが結婚して、アドが弟になるんだ!」



 「それはだめです」



 その言葉はピシャリと断るセオドア。絶対それはいやだ。セラフィールは俺の娘だ。アドラオテルと仲良くするのはいいがそういう関係には絶対させない。



 「いいじゃねえかよ~、こんなに仲良しなんだぞ?親としてちゃんと恋愛婚させたいじゃないか」




 「…………本心は?」



 「可愛い息子が皇族になって欲しい」



 「……………」



 兄上の親ばかも大概なんだと知った瞬間だった。












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