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主人公息子VS主人公兄息子

 


 「ん~…………」



 「すう………」




 セオドアの部屋は兄夫婦の寝息しか聞こえてこない。アドラオテルはそれを見てからセラフィールを呼んだ。




『ほらな、やっぱり眠ってるよ』




『うう、…………いいのかなあ?』



『いいんだよ。だってこの家は俺たちの家だろう?』



『でも、パパは無理やりこの部屋を取られてたわ』



『パパはヘタレだからな。すぐに負けるんだ。あーいう大人にはなりたくない』



『パパ、優しいもん』



 セラフィールはぷう、と頬を膨らませる。セラフィールもアドラオテルも父親と母親が大好きなのだ。けれども、『だから遊ばない』とはならないのがアドラオテルである。そして若干ながらそれを認めるのは恥ずかしい。




『………ハンッ、俺は認めないもんね、ママはともかくパパはヘタレだもん』



『素直じゃないなあ』



『素直でいてたまるか___!』



 「ぶぅ~」




 アドラオテルはそんなことを言いながら前を向いて意思疎通をやめる。目の前には___大嫌いな男・セフィロト。セフィロトが俺のおもちゃで遊んでいるのだ。自分のおもちゃに触れてほしくないアドラオテルは勿論怒った。




 ※


 ここからは喃語で子供達が会話します。

 分かりやすくするために要約させていただきます! ▽



 ※




 「おい!俺のおもちゃで遊ぶな!」



 「ん……あ!あの生意気なやつ!」



 「生意気はお前だろう!?なんで俺のおもちゃで遊んでるんだ!」



 アドラオテルはセフィロトに近づいてばぶばぶと捲し立てる。セフィロトも引かずに言う。




 「別にいいだろう?お前のものは俺のものだ」



 「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のものだっ!」



 「いったい!引っ張るな!」



 とうとう、取っ組み合いのケンカが始まった。見ていたセラフィールが止めに入る。


 「ちょっと、2人ともやめて!」



 「この声は………!」



 セフィロトはぴたり、動くのをやめてアドラオテルから目を離し声のした方を見る。そこには___花よりも美しい少女、セラフィール。見ただけて胸がきゅん、と苦しくなった。



 「せ、セラちゃん…………!」



 「おはよう、セフィロト様」



 そう言ってセラフィールは笑う。

 それだけでセフィロトはときめいた。


 アドラオテルはそんなセフィロトを放ってセラフィールに言う。



 「セラ、こんな男と話すな。お馬鹿になっちゃうぞ」


 「馬鹿はお前だ!なあ、セラちゃん!」



 「……………」



 どちらも馬鹿よ、とはいえないセラフィール。きっとこれを言ったらセフィロト様は泣き、アドラオテルは怒り出すだろう。とはいえ、パパには『アドラオテル以外と近づくな』と言われている。



 セラフィールはハイハイしてアドラオテルにしがみついた。



 「ごめんなさい、セフィロト様、わたくしはアドラオテルのそばに在らねばならないのです」



 「そんなっ…………」




 セフィロトはあからさまに残念そうにする。良心の痛むセラフィールを他所に、アドラオテルは勝ち誇った笑みを浮かべる。



 「女に振られてやんの~」



 「っ、勝負だ…………」



 「は?」




 ぽつり、セフィロトは震えながら言う。そして、近くにあった剣の玩具を手に取り、涙目でアドラオテルを見た。



 「勝負だ!アドラオテル!」



 「…………へえ?俺に勝てると思ってるの?」



 「勿論だ!浮かせるのはナシだぞ!オトコの勝負だッ!」


 セフィロトの言葉に『ふむ』と考えるアドラオテル。確かに、魔法を使えば早い、けれどそれじゃ勝負にならない。



 ……………暇つぶしにはなりそうだな。



 そう結論に至ったアドラオテルはにやり、笑って剣を手に取った。



 「いいよ、かかっておいでよ、コテンパンにしてあげる」



 「勝ったらセラちゃんと話をさせろ!」



 「ええ!?」









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