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主人公兄、再び

 



 「はっ、…………アミィ」



 「っ…………セオ…………」




 深夜、子供達が皇帝家族の部屋に泊まりに行った夜。

 群青色の短髪、緑色の瞳のセオドア・リヴ・ライド・サクリファイスは裸で息を荒らげていた。



 彼はギャルゲー『理想郷の宝石』の主人公に転生したが、攻略対象キャラと結婚することなく、他国の皇女の手を取り結婚した。


 その相手は___目の前で瞳を潤ませ、顔を赤らめている紅銀の長髪、黄金の瞳を持った他国………サクリファイス大帝国の皇女、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスである。



 2人は結婚し、2人の子供を設け幸せに暮らしている。子供が出来たとはいえ2人の愛が薄まることはなく、子供達が居ない夜はこうして甘いひとときを過ごすくらいにはおしどりだ。




 嗚呼、今日も美しく愛らしい俺の妻………少し触っただけでこんなにも蕩けたお顔をするんだぞ?それだけで、我慢なんて出来なくなる。今すぐ全てを食べてしまいたい、甘い声を聞きたい、もっと触れてひとつになりたい。



 「アミィ、ごめん、………俺………」



 「いいです、セオ、……来てくださいまし」



 「ッ、ああ____!」




 それを聞いて自分の尊厳に手をかけようとしたとき、窓の方からコンコン、と音がした。


 見ると___オーファン家特有の鳩の姿をした伝達魔法。その音を聞いてアミィールは裸のまま身体を起こして言う。




 「………セオ、お手紙のようです」



 「____うん、ごめん………」




 こんないい時に!このタイミングで手紙が届くか普通!?深夜だぞ!?夫婦の甘いひとときを過ごしている時に!



 セオドアは若干のいらだちを抑えつつ、裸で窓の前に来て、開けた。鳩はセオドアの手の上に来ると、ポン、と音を立てて手紙に変わった。セオドアはそれを持ったまま、ベッドに戻ってくる。





 「ごめん、アミィ、中断しちゃったね」



 「いいえ。…………急ぎなのかもしれないので、見てくださいまし」



 アミィール様はそう言って、少し残念そうな顔をしながら布団で自分の身体を隠した。この恥じらいを見たら尚更止まれないじゃないか…………ッ!



 とは思うものの、甘いひとときを優先して家族の危篤や問題に気づくのが遅くなるのは嫌だから、近くに置いてあるペーパーナイフで封を切り、中に入っている手紙を見た。






 ______



 セオへ



 明後日そっちにいく。

 今回は旅行だ。

 勿論サーシャと生まれた子を連れていくぜ。

 部屋も借りるからそのつもりでいてくれ。

 私の子供は綺麗好きだから綺麗にしておいてくれよ。


 じゃあ、明後日に。



 お前の最愛の兄、セフィア




 ________




 こう書いてある…………って!



 「はあ!?」



 思わず大声が出た。

 完全なるデジャヴである。

 そして手紙の内容が無茶苦茶である。

 全てが唐突すぎる。いや、もしかしたら今回もアミィール様が知っていたり………!?




 「どうなさいました?セオ様?」



 「あ、いや、………アミィ、アミィは兄上が来ることを知ってたりは?」



 「?そんな予定は無かったと思いますが………もしかして、お兄様がいらっしゃるのですか?」



 「…………!」




 今回は本当に突然来る気なんだ…………!

 そう察すると熱かった身体が一気に冷めた。


 本当に信じられない。仮にも他国の皇城に旅行に来る奴がいるか!?しかもアポ無しで!?おかしい、おかしすぎる。しかしそんなおかしすぎることをするのが俺の兄、セフィアである。










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