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猫型ロボットもびっくり!?

 




 アルティアはそう言ってその紙を浮遊魔法で浮かべた。そして、手を翳して呟くように言う。




 「秘術___物体模倣(オジェクト・トレース)



 「………!」



 「うおー!」


 「きゃー!」



 「な、………っ!」




 アルティアがそう言うと、紙が黒く光出し、同じような紙が沢山生まれ____部屋一帯を紙の海にした。それだけに留まらずぱちん、と指を鳴らすとそれが折られていく。机に集まって沢山の山ができた。



 呆然とするセオドアに声をかける。



 「ほら、早くお菓子を持つわよ」




 アルティア皇妃様はさっさと黒渦を出した。そして、指を動かして包装したお菓子に紙を貼り付けて黒渦に放り込む。あっという間に山のようなお菓子、そして肖像画全てが無くなった。



 アルティアはそれを終えてからくるり、レイを見る。




 「ねえ、そこのレイくん」


 「は、………なんでしょう?」



 「ラフェー………皇帝に少しばかり遊んでくる、って言っといて。なんか言われたら『アルティアが楽しい事をしているから黙ってろ』つっといて」



 「な、それは…………」




 アルティアはふい、と視線を外して子供達を抱き上げる。そしてセオドアに言う。




 「ほら、とっとと行くわよ」



 「え、ど、どこに………!」





 そう言って窓が勝手に開いた。そして____窓を覆うように現れた、いつぞや見た大きな、聖の魔力を込めた鳥_アルティア皇妃が作り出したという幻獣_・ヴァルの姿が。アルティアは妖しく黄金の瞳を光らせた。



 「決まってるでしょう_____孫自慢をしにいくのよ」





 * * *





 「パーパー!」



 「ばーばー!」



 ………子供達がとてもはしゃいでいる。



 「おりゃあああ!」




 アルティア皇妃様が極悪面をして吠えている。



 そして、俺は_____



 「な____これは、どういう状況ですか!?」



 俺は、幻獣ヴァルの羽毛にぶら下がっていた。………アルティア皇妃様に連れられて、俺と子供達は今空を飛んでいる。そして、アルティア皇妃様は____いつものように空からお菓子を投げている。



 しかしここは庭園じゃない。____サクリファイス大帝国の上空なのだ。



 つまり。



 「なんでっ…………お菓子を投げるのですかぁぁぁぁ!」



 セオドアは半泣き状態で叫んだ。アルティアはそれを無視してぽいぽいと浮遊魔法のかかったお菓子を忙しなく投げている。




 「これが一番手っ取り早いのよ~安心してよ、家の中に入っていくか、家の前に置かれるかどっちかだから☆」



 「滅茶苦茶過ぎます!」




 「いいじゃない、ねえ、アド、セラ?」


 「あうー!」


 「ばーばー!」



 アドラオテルとセラフィールは満面の笑みで頷いている。滅茶苦茶過ぎる、……なにより今いるところが高すぎて声すら失う。



 「…………ッ」




 「高いところ苦手?高所恐怖症?………どっちでもいいけどさ、下を見てみなさいよ」



 「こんな高いところの下なんて___「なんだこれ!うめえ!」………?」




 下から、声が聞こえた。怖い心を忘れて、下を見た。国民たちが俺のお菓子を手に取って食べている。俺の絵も広げている。




 「まあ!素敵!この子達が先日生まれたアミィール様とセオドア様の御子かしら?」




 「そうだろう!見目麗しいな!」



 「当然よ!あの美貌を引き継ぐのですから!」



 「それもそうだが、このお菓子美味しいな!」



 「わーい、あまーい!」



 「おいしいねー!」




 ………………沢山の国民たちの声。


 それを聞いて____泣きたくなった。

 怖いよりも、理不尽よりも。


 喜んでくれていること、子供達の事を話してくれていること。それがとても嬉しい。



 俺はこの声を聞けないと諦めていたけれど、聞けたんだ。この無茶苦茶な義母のお陰で。




 「あら~パパが泣いてまちゅよ~セラちゃん、アドくん、慰めてらっしゃい」




 「パーパー!」



 「よちよち」




 「……………ッ、ありがとう、セラ、アド。


 そして…………アルティア皇妃様」



 「そこはママって呼ぶところでしょ。………まあいいや。


 次々行くよー!」




 俺達は、空を飛ぶ。

 夜まで俺達は国中にお菓子を投げていた。












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