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皇妃の意見

 





 「アルティア皇妃様!?」



 「やあやあやあ、お茶会しようっていうお誘いで___あら、なんだか見たことあるものが沢山ね」





 アルティア皇妃様はつかつかと靴を鳴らしながらキッチンに来て、ひなあられをひとつ食べた。礼儀も作法もない自由奔放な皇妃である。でも、なんだかんだ気にかけてくれて貰っているから嫌いではない。



 「なになに、なにかのぱーちー?」



 「いえ、そうではなく………あ、そうだ!」



 「?」



 セオドアは説明する前にキッチンから離れ、近くの机に置いてあった沢山の紙の束をアルティアの前に持ってきた。



 「アルティア皇妃様!この中からひとつ、選んでください!」



 「え?なにこ………って、はあ!?上手過ぎない!?セラちゃんとアドくん可愛い~!」



 紙を見るなり目を輝かせるアルティア。それを手に取ってからセオドアと紙を交互に見る。




 「なになに、画家でも呼んだの!?」



 「いいえ、私が描きました!」



 「…………はい?」



 アルティアは聞き返す。

 何言ってるのこの子?どうみたってプロじゃんプロが書くものじゃん。

 そう思うアルティアを他所に、セオドアは満面の笑みでもう一度繰り返す。



 「私が描きました!」



 「……ええ……」




 なんというか………この子、凄すぎない?よく自分を凡人だ、とか、乙女男子だ、とか言ってるけどなんでも出来るじゃん、スーパーマンじゃん、ぶっ飛びすぎだし私よりも設定盛り込みすぎてないこの子?とはいえ………



 アルティアはちら、と紙を見る。

 こんなに可愛い孫達の肖像画は目の保養である。なんでこれの中から選んで欲しいのかは分からないけれど、見ていて飽きないからいくらでも見れる。



 パラパラと絵を見ていると、1枚の絵が目に止まった。それは、とっても素敵な絵で。



 「………私、これが好きだな」



 「え………ああ、それは息抜きで書いたやつです、これは省きます」



 「いいえ、これが一番素敵よ」



 アルティア皇妃様はそう言って、ふわりと優しく笑った。本当に息抜きに書いたものだけれど………なんだか、アミィール様の笑みに似ていて、照れてしまう。




 「では、これにします。………これを沢山書いて皆に配ります」




 「配る?」



 「ええ。実は、子供自慢兼ひな祭りとして、サクリファイス大帝国国民達に配りたいのです。



 …………あ、もちろん、私は城から出ません。『治癒血』のこともありますし………」




『治癒血』、それは俺の持つ唯一のチート能力だ。俺の血で生き物の傷を癒し、命を蘇らせ、植物さえ成長させる、ヒロインが持ってそうなチート能力。



 …………本当は自分でやりたいけれど、俺が勝手に動いてみんなに迷惑をかけるのは、嫌だから。



 そう諦めに近い気持ちで力なく笑うと、アルティア皇妃様は『ふむ』と少し考えてから、次は溌剌とした笑みを向けてきた。



 「それなら、私も力を貸すわ」



 「!本当ですか!?」



 「わっ」



 セオドアはずずい、と距離を詰める。群青色の髪、緑の瞳の整った顔はどうみても2児の父親には見えないし、私にラフェエルが居なければ惚れていただろう。可愛い義理の息子だ。息子の言葉くらい聞いてあげたいでしょう?



 アルティアはふ、と笑ってから選んだ肖像画を手に取った。



 「ええ。私に二言はないわ。あと手抜きもない。


 とりあえず、この絵を増やせばいいのね」



 「え?アルティア皇妃様は絵を描けるのですか?」



 「描けるわけないでしょう?私は前も言った通り猫型ロボットではないわ、カメラなんてない。



 けれど____これでも"最強生物"よ?」















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