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なんでもこなす主人公

 



 喋れるようになって数時間でこんなにペラペラ喋れるようになるのか?というかこの子供なにを……………!?


 そこまで考えて、言葉の意味を理解したセオドアはさらにゆでダコのように赤くなる。



 こ、コイツなんてことを…………!



 「あ、アド!あれはな、その、ま、ママと仲良くしてた、っていうか………」



 「なかやし?はぢゃか、なかやし?」



 「そうじゃない、そうじゃないから………!」



 「ひ、ひぃぃ……!は、腹いてえ~!」



 「~!レイ!クビにするぞ本当に!」



 「?」



 _____この後、必死に必殺言葉『アドにはまだ早い』を連呼したセオドアでした。





 * * *






 「………………セオドア」




 「ん?なんだ?」




 レイは呆然としていた。

 デジャブな光景が目の前に広がっていたからだ。レイは1枚落ちている紙を拾って、見た。



 そこには____精緻に描かれた、セラフィールとアドラオテルの肖像画。画家よりも上手い、何をやらせても天才なのだからすごいと思う。けれど。




 「部屋をゴミだらけにするなぁ!」



 「なっ!破くな!」




 ____セオドアの部屋には、沢山の子供達の肖像画が描かれた紙が散らばっていた。そして、その紙くずの真ん中に、沢山の絵の具や色鉛筆、羽根ペンを広げてせっせと描いているセオドアの姿が。



 肖像画を破くとやっとこちらを見て怒鳴った。



 「せっかく書いたのに破くことないだろう!?」



 「破かれたくなかったらこのゴミの山をどうにかしろ!」



 「だからゴミじゃないんだよこれは!大切なものなんだ!」



 セオドアはそう言って散らばっていた紙を山盛りに抱き締めた。なにをやってるのかって?俺もわからない!突然色鉛筆や絵の具、クレヨンを所望して持ってきたらこうして描いているんだ!馬鹿みたいに何時間も!



 「今度は一体何をやるつもりなんだお前は!?」



 「国民たちに子供たちを自慢するんだよ!」



 「答えになってねえ!なにをしたいんだお前は!?」



 「何度も言わせんじゃねえ!だから配るんだよ!」



 「はあ!?だから何を………!」



 レイがそう聞く前に、机に足を乗せてセオドアはペンを握りながらガッツポーズをした。




 「お菓子と共にこの肖像画を入れて!配って回るんだ!」



 「…………馬鹿かよ!」




 レイは時間差で腕に持っていたお盆を床に叩きつけて怒鳴る。しかしそんなことでへこたれないのがセオドアという男だ。




 「カメラがないなら描くしかないだろう?けど画家にこの子達を見せて!ヌードを書かせろなんて言われたらどうする!?アドはともかくセラは女の子だぞ!そんなの許せるか!」



 「妄想もそこまでいけば立派だよ!花畑どころじゃねえ!お前脳みそあるのか!」



 「ふん、なんとでもいえ、お前も配るんだからな」



 「絶対やらねえ!」



 「執事の仕事だろう?給料5倍だ」



 「その手には乗らねえよ!エンダーはやるだろうがな!」


 「エンダーにも声をかけた、10倍で手を打ってもらった」




 「事後かよ!」




 レイ、怒涛のツッコミ止まらず。


 そうなのだ。俺はどうしても子供達の自慢をしたいのだ。で、この世界にはないけれどもうそろそろひな祭りぐらいだろう、ならばケーキに添えて可愛い子供たちの肖像画を配るのだ。ナイスアイデアだろう?



 「全部口に出てるんだよ!なんで口に出すんだお前は!?」



 「うるさいな、なにを考えても俺の勝手だろう?なあ、アド」



 「うう~♪」



 近くにいるアドラオテルを見ると、上機嫌で肖像画にクレヨンでぐちゃぐちゃと………って!



 「アド!それはだめだ!」



 「パパ~!」



 「うぐ………パパで誤魔化しても、だめだ!」


 「ぶぅ」






 アドラオテルはちょろい父親が進化したのを感じたのだった。









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