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早朝の冒険 #3

 




 「セラ!アド!なにをなさっているのです!?」



『………』



『…………』




 説明しよう、俺達は部屋に近づくために透明化魔法をかけていた。そして浮いていた。なのに、この母親はすんなり俺たちを見つけたのだ。おかしい、おかしいだろう?さすがママである。



 とはいえ、ここで引き下がる俺たちじゃない。



『ど、どうするのアド!見つかったわよ!』


『こういう時は…………逃げる!』



『あっちょ………!』



 「セラ!」



 「あぶ!」



 アミィールはセラフィールが後を追う前に確保した。そして、綺麗な黄金の瞳を細めて怒っている。



 「セラ、なにをなさっているのです?」



 「…………」



 「答えないのですか。お母様達があなた達をちゃんと見ていなかったのですか」



 「ぶう!」



 必死に首を振る。じーじもばーばも大好きだ。自分たちが抜け出したことで喧嘩するのは嫌だ。けれど、無情にも自分達に優しいママは髪を逆立てて怒る。




 「あのおふたりは…………!子供達が逃げ出して平然と寝ているなど言語道断ですわ………!いつか絶対殺してやります…………!」




 「………………」




 「セラ、貴方も、今からなにを言われるか……わかりますね?」



 「………………ひぅ」




 そうにっこりと笑ったママがとても怖かった。





 * * *




 ふっふっふっ、悪いなセラ、俺はお前を忘れない。さすが双子、生贄万歳。



 アドラオテルはセラフィールが怒られているうちに寝室に来た。このアドラオテルという子供は父親や母親に似ず極悪非道、最低人間を極めているのだ。



 そんな最低赤ちゃん・アドラオテルはふよふよと浮くのをやめて、寝室のベッドをよじ登る。ここまできたんだ、折角なら魔法無しで乗って知らん顔で隣で寝てやろ……?



 「んん…………」



 ベッドには、パパがいた。それは当然なのだが、裸である。アドラオテルは静かに布団に潜って近寄る。あろうことかパンツすら履いてない。そして、布団がベタベタする。かぴかぴなところもある。パパの体はしっとり濡れている。



 それに。


 胸元には赤い点々がついている。いつもついてるけど、今日はいつもより沢山ついている。病気かな……?



 「アミィ………?」



 「………!」



 不意にパパの声がした。アドラオテルは固まる。起こした!?怒られる!?このパパはママのように怖くないけどしつこいのだ!ねちねち怒るのだ!まずいまずいまずい!



 そう思っているうちに、大きな手が俺の体を掴んだ。そして、顔に持っていく。緑の瞳が細く光っている。



 「アミィ…………まだ足りないの?


 いいよ、もっともっと、愛してあげる____」




 「!?」




 パパ___セオドアはそう言ってアドラオテルに唇を重ねる。アドラオテルは紅と黄金の瞳を見開いて硬い唇に驚いている。


 そして、セオドアは思う。


 ……あれ?なんか、アミィール様が小さい気がする。それに、唇ちょっぴり硬い、甘い匂い、というより赤ちゃんの匂いが____って!



 そこまで考えたところで目の前に広がる小さな顔がアドラオテルだと知る。セオドアは急いで唇を離した。



 その頃にはアドラオテル、窒息失神。セオドアは大いに慌てた。



 「な、な、な、なんでアドがここにいるんだー!?」



 「………………」


 「おいっ、アド!アド!起きろ!何がどうなって!?……っおえ!」




 セオドアは息子とキスしたことを思い出し少し吐き気を催す。そんなこんなしているとセラフィールを抱いたアミィールが入ってきた。



 「セオ様!?どうなさい___アド!」



 「あぶ!」


 「アミィ!アドが………って、セラまで!?ど、どうして!?


 何が起きているんだ!?」




 ____城内にセオドアの大声が響いたのだった。











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