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早朝の冒険 #1

 




 ____そんな熱くて甘い両親に育てられた子供達は、というと。





 「…………あぶ!」



 「…………はぶ!」



 早朝、双子達は目を覚ました。お互いの顔を見合わせてから、ぐるりと周りを見る。



 「ぐがーごがー!………」




 「……………」


 「……………」




 ベッドの端にはばーばであるアルティアがあられもない寝相で寝ている。とてもうるさい鼾つきだ。じーじのラフェエルはいつもの不機嫌そうな顔を緩めて子供っぽい寝顔を晒して寝ている。祖母の鼾に耐えて寝られるの、心底すごいと思う。



 なんて大人達の観察をするセラフィールに、アドラオテルは脳内に語りかける。………実はこの双子、お互いに意思疎通が出来るのだ。



『セラ、この隙に城を探検しようよ』



『だ、だめだよ、怒られちゃうよ!』



 セラフィールはぶんぶんと首を振る。しかしアドラオテルは悪戯っぽく笑う。


『大丈夫だよ、こういう時じゃないと探検できないだろう?』



『でも、怒られるのは嫌だ』



 頑ななセラフィール。それを聞いてアドラオテルは口を尖らせた。



『…………じゃあ、パパとママに会いたくないのかよ』


『………?探検、じゃないの?』



『探検しながらパパとママの所に行くんだ。俺はこのいびきを聞きながら寝れるわけがない』



 とか言ってしっかり寝ていた事を隠し、セラフィールを誘惑する。セラフィールはそれを知っているけれど、これをいうと暴力的な弟は怒り出すだろう。また部屋を滅茶苦茶にする可能性だってある。



 それに。



 パパとママに会いたい気持ちは、ある。

 ママにぎゅ、ってしてもらいたい。パパに『よく来たね』なんて笑顔を浮かべて欲しい。



 そう考えると…………更に会いたくなった。



『…………………怒られても、知らないよ?』



『怒られたら、その時だよ。大丈夫大丈夫』


 けたけたと笑うアドラオテル。この弟はいつだってこうなのだ。少しだけ尊敬している。



『じゃあ、行こうぜ。ベッド降りる以外はハイハイな』


『それは………わたくしは飛びたいよ』



『そんなのつまんないだろ、ほら、行こう』




 アドラオテルはそう言ってふわり、群青の光を纏って浮いた。セラフィールも紅銀の光を纏って浮く。ベッドを降りて、広い部屋をハイハイする。



 静かに、静かに。少しでも音を立ててバレたらじーじやばーばに捕まる。そうなったらお仕置されるのだ。呼吸も深くして息を止めるようにハイハイをしたら大きな扉の前に来た。アドラオテルは言う。





『きっとガロかリーブが居るよ。だから、ここは協力しよう』



『協力、って何を?』



『簡単だよ、セラフィールが扉を開けたら俺が最初に出て、これで気絶させる』



 アドラオテルはそう言って、片手を見せる。バチバチ、と雷を纏ってる。セラフィールは首を降った。


『だ、だめだよ!傷つけたら大変だよ!』


『大丈夫だよ。ちょっと痛いだけだ。しにはしないよ』



 死ぬなんてどこで覚えてくるんだろう、この乱暴な弟は………とはいえ、護衛2人をどうにかしないと行けないのは事実で。しばらく考えてから、こくり、頷いた。



『………本当に殺さないでよ』



『セラは話がわかるな、そこはすきだよ。ちゅーする?』



『いやだ、ベタベタするもん』



『残念、じゃあ、いこう』



『うん』




 セラフィールは魔法の力を使って扉を開けた。すると素早くアドラオテルが外に出て、『ああ!』『うう!』と小さな悲鳴が聞こえた。セラフィールは急いで祖父母を見る。2人は寝ている。


 ほ、と胸を撫で下ろしていたらアドラオテルの声が聞こえた。



『おっけー!行こう』



『う、うん』



 セラフィールが外に出ると、大好きな側近達が倒れていた。本当に生きているのか体に触れてみる。脈はあるから大丈夫………だよね?




 不安になりつつ、動きだした。







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