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カメラがないなら!

 




 「いや~大盛況だったじゃないの」




 「ええ、私も楽しかったです」



 帰りの馬車の中、アルティアとセオドアは顔を合わせて笑った。子供達は疲れたせいかセオドアの膝の上で夢の中だ。可愛いなあ、もう…………って!



 「ああっ!」



 「わ、どうしたのセオくん」



 「自慢、できなかった…………」




 「……………」





 そうだよ!普通に楽しんでいたけれど本来の目的である『子供自慢』を全くできなかった!うわー!楽しかった!楽しかったけれど!けど俺は自慢をしたかったんだよ!なんでしなかったんだ俺!?ままごとでおじいちゃんやってる場合じゃないよ!




 「アルティア皇妃様!急いで馬車を孤児院に!」



 「はあ……………あんたねえ、もう孤児達はご飯の時間よ、食事の邪魔はしないの。


 それより子供達が起きちゃうから黙りなさい」



 「ぐう…………」




 セオドアは納得していないと言わんばかりに整った顔を歪めた。アルティアは呆れる。そこまで子供達を自慢したいのもよっぽどよね。可愛いのは分かるけどあきらかにやりすぎ。



  しかし、暴走したセオドアくんが聞くはずもなく。ぷるぷると震えながら言葉を紡ぐ。



 「子供達の可愛さをなんとか伝えたいのです!自慢がしたい!とてつもなく!何かいい手はないでしょうか………国民達全員に自慢できるような方法が………私の可愛い子供を全国民に見せたい………



 あ!そうだ!アルティア皇妃、カメラは作ること出来ますか!?」



 「だから、出来ないってば。私は猫型ロボットじゃないのよ?」




 アルティアははあ、と呆れる。

 もしカメラがあったら私だってアミィールの成長記録をつけてたわよ。でも実際そこまで出来なくて………



 「肖像画を書かせるしかないわね」



 ぽつり、アルティアがそう言うと、セオドアは目を輝かせた。


 「それです!それをすればいいのです!」


 「はあ?」


 「こうしていられない………!アルティア皇妃様、紙とペンをお貸しください!」



 「…………?いいけれど」



 アルティアはやる気に満ち満ちたセオドアに戸惑いながら、黒渦から紙とペンを取り出した。セオドアはそれを受け取ると、難しい顔をして、馬車が城につくまで唸りながら悩んでいた。





 * * *



 「セオ様、今日の孤児院はどうでしたか?」



 子供達が皇帝夫婦の所でお泊まりをする日、アミィールとセオドアは甘いひとときを過ごしたあと、裸のアミィールがセオドアに抱きつきながら聞く。



 セオドアも裸のままでそれを受け止めながら本当に嬉しそうに笑った。




 「とても楽しかったよ、セラもアドも孤児達も楽しんでた」



 「ふふ、よかったです。…………セオ様がちゃんと子供たちと向き合ってきたから、優しい子が沢山なんですね、きっと」



 「そうだと嬉しいな。みんな、大事な子供達だ。もちろん、セラとアドはそれ以上だと思ってしまうけれど」



 「…………それは、嫉妬しますわ」



 「え?___ッ」



 セオドアはアミィールの言葉に、胸の中にいるアミィールを見る。アミィールは色っぽい顔をしてセオドアを見つめていた。や、やばい………また息子が………2児の父でもこの魔性の顔には抗えないのか、俺……………!



 悶えるセオドアに、アミィールはぎゅう、と抱きしめながら言葉を紡ぐ。




 「___1番は、わたくしがいいです。


 セオ様の1番は、わたくしでしょう?」



 「…………1番、という使い方は少し違うよ。


 順位なんてアミィとの関係には不必要。だって、アミィがいないと俺は立てないくらいなんだから。………アミィは順位をつけなくても、大切な、大切な俺の妻だよ」



 「!…………ふふ」



 アミィール様は本当に幸せそうに笑う。





 _____あ、だめだ。もう我慢できない。




 「アミィ……………」



 「っあ………」



 セオドアは優しく、自分の吐き出した欲望が未だ泡立つ大事なところに触れる。指を動かしながら、熱の篭った瞳で、アミィールを見た。



 「…………ごめん、アミィ、もう一度………ここに入りたい」



 「ええ。___わたくしも、この熱いもの、欲しいです」



 アミィールは顔を赤らめながらも、セオドアの張り詰めたソレをなぞった。



 2人は恥ずかしそうにしながらも、唇を重ねる。深く甘いキスをしながら、二人の時間を堪能した。








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