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初離乳食事件 #1

 




 「さ~!今日は初めての離乳食よ~ガキども~!」



 「きゃーっ!」



 「きゃーっ!」


 アルティア皇妃様の言葉に、子供達は珍しく椅子に座りながら_赤ちゃん専用椅子をラフェエル皇帝様が最高級の機材を調達し俺が作った代物_小さな両手で万歳した。


 毎日行われている家族食事会、今日は子供達の初離乳食だ。机には俺たちの食事よりも豪勢な離乳食が並べられている。………って。



 「アルティア皇妃様、初めての離乳食はスプーン1さじですよ。多すぎます」



 「出た!『セオくん豆知識』!いいじゃないの、折角の祝いなんだし食べれるだけ食べさせましょう!」



 「ダメですよ!」



 セオドアはキッパリと断る。

 これでお腹を壊して何かあったら大変なんだ。ここは父親として止めなければ!



 「大丈夫よ~残したらセオくんとラフェーに食べてもらうから」



 「「は?」」



 ラフェエル皇帝様と俺の声が重なった。アルティア皇妃はにこにこしながら言う。



 「今日の食事が少ないのは残り物を食べるためよ!だから安心して喰らえッ!」


 「…………………」



 孫ができてもこの人の無茶苦茶は変わらないのである。悲しいことに。………とはいえ、食材を無駄にするのは良くない。それにどの離乳食も美味しそうだ。今日のシェフの張り切り具合が伝わってくる。セラフィールとアドラオテルは城内でアイドル的存在なのだ。当然なのだが。




 アミィールは1人得意げになっているセオドアを見てくす、と笑ってからまずはセラフィールの口元にりんごのすりおろしを持っていった。



 「セラ、食べてくださいまし。おいしいですよ」


 「…………ッ」



 セラフィールは涙目である。初めての経験というのに極度に恐怖を感じる性格だ。こういう時は……………



 「?セオ様?」


 アミィールの視線の先には、スプーンを手に取り、すりおろしりんごを掬うセオドアが。セオドアは『セラ、見て?』と優しく言う。セラフィールは大好きな父親に呼ばれて涙目でセオドアを見た。



 セオドアはそれを確認してからすりおろしりんごを口に含む。甘くてさっぱりしている。離乳食でも美味しい。



 「…………すごく美味しいよ、セラ、食べてみて?」



 「ッ…………んむ!」



 「セラ!」



 セラフィールは意を決してぱく、とスプーンを口に含んだ。涙目だった目が見開いていき、もむもむと味わって頬に手を置いた。



 その可愛い姿に全員がほっこりする。セラフィールは食べ終わるとばんばん、と机を叩いた。



 「あうー!」



 「ふふ、もう少しくらい、食べさせてあげたいですね」


 「そうだね。少しくらいなら大丈夫だと思うし、アミィはセラにあげてて。私はアドに食べさせるよ」



 「宜しくお願い致します」



 アミィールとセオドアは互いに笑みを見せあってからそれぞれの子供達を見る。アドラオテルは___ヨダレを垂らしギラギラしていた。流石のラフェエル皇帝も引いているほどの迫力だ。



 「あ、アド………お前は怖くないのか………?」


 「がー!」

 

 「………………」




 ……………どうやら、怖くはないらしい。

 逞しいというか、なんでもバッチコイというか。それだけではなく口を大きく開けてスタンバってるのだから頼もしい。




 セオドアは苦笑いをしながら、同じようにすりおろしりんごをスプーンですくって口元に___持っていく前に、ぱく、となんの躊躇も無しに食べた。アドラオテルは味わうことなく『次!』と言わんばかりに身を乗り出している。半ばつかまり立ちしてないかこの子?








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