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主人公と愛息

 





 父親としても許せないし同じ男としても恥ずべき行為だ。アドラオテルが将来そういう恥ずかしい人間にならないように諭さなければならない。


 というのに、この息子は。



 「あーぶー」



 「あっ、待ちなさい!」




 アドラオテルは俺の心も知らずに浮遊してレイの元に行く。レイは『おっと』と言いながらそれを抱き留めた。アドラオテルは抱きしめられるとわざわざ俺の方を見た。



 「……………べー」



 「…………………」




 頭が痛い。とてつもなく。

 セオドアはソファに深く腰を沈める。

 ……………あの通り、俺の話などひとつも聞かない。アミィール様に相談するべきか………?いや、こんなこと知ったら悲しまれるかもしれない。そもそも皇族がこんな恥ずかしい事をするなんて思っていないだろう。




 なんとか、俺だけの力で解決したいな……………何度も言うが俺は父親なんだ。息子の奇行は辞めさせなければならない。




 なのに……………。




 「アドラオテル様、どのような女性が好みなのですか?」


 「あうー」



 レイに聞かれると、小さな両手で胸を大きく膨らませるようにジェスチャーした。……………スケベオヤジがする仕草である。あれを見る度にさらに頭が痛くなる。



 言葉で聞かないとなると、どうすれば………やはり一人で問題解決は厳しいか…………?



 「くく、まあ、セオドア、諦めろよ。歳を取れば必然的にやらなくなるって。


 ねえ、アドラオテル様」



 「………………」




 「……………」



 急に黙るアドラオテル。………やる気満々じゃないか。小さいくせに生意気だ。一体スカートに潜って何が楽しいんだ?パンツがそんなに見たいのか?いや、侍女はパンツを履いているのか………?



 セオドアは完全に迷走している。全部口に出てるぞセオドア。それを聞いてお前の息子がこくこく頷いているぞセオドア。


 レイは笑いを堪えながらそう思う。それを他所にセオドアは深く考えた。



 仮に、パンツを見ることが目的なら………見えないようにすれば…………そうだ!



 セオドアはそこまで考えて立ち上がった。そして、レイに言った。


 「レイ!布を用意してくれ!通気性のいい布!至急だ!」



 「?なんでだ?」



 「いいから!」



 セオドアはツカツカと足音を鳴らしてレイからアドラオテルを取り上げて『行ってくれ』と催促する。レイは分からないまま、首を傾げながら言われたとおり手配するのだった。





 * * *



 ____10日後。




 「……………………」



 またまたセオドアの自室。アドラオテルはむすり、と頬を膨らませて怒っていた。その目の前には____勝ち誇った笑みを浮かべたセオドア。机には………スパッツ的なもの。


 レイはくつくつ、喉を鳴らしながら言う。



 「いや~まさか、侍女達に『日頃の感謝』と言ってパンツを隠す伸縮自在の履物を作るとはな、見たことないぞそんなもの。


 ニホンという所にあったものか?」



 「ああ。前世で皆履いていたんだ。……あ、勘違いするなよ、俺は服飾学校に通っていたから知っている知識だ、そういう趣味はない」



 「あぶー!」



 その言葉を聞いてアドラオテルは玩具の剣を宙に浮かせて攻撃する。セオドアはそれを詠唱なしの防御魔法で防御する。



 ____前世の知識がこのように活躍するなんてな。なんでもやってみるもんだな。



 セオドアのどや顔に、アドラオテルは更に頬を膨らませたのだった。











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