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双子の強敵

 




 …………とまあ、このように滅茶苦茶な子供達なのだが、向かうところ敵無し!というわけではなく。



 「は~い、食べてる時に魔法を使っちゃダメよ~セラちゃ~ん」



 「うきゃーきゃーっ!」



 じたばたと空中で暴れるセラフィールを黒い光の縄で縛り上げる黒髪、黄金色の瞳のサクリファイス大帝国皇妃・アルティア=ワールド=サクリファイス様。




 「アドもだ。遊ぶならもう少し強くなれ」



 「ぐぅ…………!」



 食事中だと言うにも関わらず片手に木刀を持つ紅銀の短髪、紅い瞳のサクリファイス大帝国皇帝・ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイス様と、大きなテーブルの真ん中で倒れているアドラオテル。




 「……………………」



 俺達皇族家族は子供達が生まれてから毎日夜食を共にするようになった。で、この光景も日常と化した。勿論最初は止めたさ。『子供たちに手をあげないでくれ』と。でも最初に攻撃しているのは子供達で、それを軽くいなしているのが皇帝夫婦で、悔しい子供達は毎日懲りずに突っ込んでいくという負のスパイラルが出来ている。




 「あ、あの、ラフェエル皇帝様、アルティア皇妃様…………私たちの子供が御手を煩わしてしまい申し訳ございません………」



 「あー、いい、いい。孫達との触れ合いの時間だからね。


 ねえ、ラフェー」



 「ああ。子供達は日に日に強くなっている。サクリファイス皇族たるもの強者に向かっていく心構えは身につけておくべきだ」



 「………………」



 そう言って楽しそうに話している皇帝夫婦を見て閉口する。

 なんだこのチートしかいない空間……平凡は息が出来ない……子供達が傷つく度に俺はどれだけ心を痛めているかわかるか?育児よりも欲求不満よりも心臓に良くないんだ………



 それは俺の愛おしい御方も同じようで、自分の両親を交互に睨む。




 「わたくしとセオ様の子供達に酷いことなさらないでくださいます?不愉快です、わたくしが許しません」



 「何言ってるのよ、自分の力を過信してやりたい放題する子供達を躾けるのも大人の役目だわ」



 「甘やかすだけが教育ではない。世の中の厳しさを知り、自分の願いを叶えるために力を蓄える。………当然のことだろう」



 …………うん、どっちも言いたいことが分かる。実際俺達だけでは子供達の暴走は止められない。けれどももう少し手加減はして欲しい。こうして普通に話しているけれど食事はほとんどひっくり返っているんだ。食べるものが全部無駄になっているのだ。大惨事である。





 菩薩顔をしていたセオドアは、1度首を振り、アルティアとラフェエルを見た。




 「この子達をしつけるのはどうすればいいのでしょうか。大事に育てたいのですが、ご覧の通り好き放題やってしまって………」




 セオドアの言葉に答えたのはアルティアだった。



 「あら、それは仕方ないことよ。相手は赤ん坊よ?人間の子供であれば出来ることが限られているから泣いたりするのだろうけれど、この子達はしないんじゃないの?」



 「…………なんで、わかるのですか?」



 アミィール様は怪訝そうに聞く。

 そうなのだ、この子達は1度も泣いたことがない。セラフィールは涙ぐむことはあるが、声を上げたりしない。それも不安だったのだ。


 その問いに答えたのはラフェエル皇帝だった。



 「___力を有しているからだ。

 空中浮遊も魔法も自由に扱える。泣く以外の自己主張の手管をこの子達は持っている。


 だから泣くぐらいなら力を使えばいいと思っているのだろう。

 だからこそ力ずくで止める人間は必要なのだ。


 そして。


 その傷を癒すのが___お前ら夫婦の役目だ」




 「…………!」














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