表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

326/470

魔剣は無条件で祝福する

 




 「よぉ、セオドア」



 「ダーインスレイヴ様!」




 寝室にて、アミィール様が産後疲れで眠っているのを子供達と遊びながら見ていたら、乙女ゲーム『理想郷の王冠』の攻略対象キャラで青紫の長髪、黒い瞳、黒いコートを身に纏った魔剣・ダーインスレイヴがふらりと現れた。



 バタバタと手足を動かす子供達とアミィール様を守るように立つ。



 「ここは、私達の寝室です!何しに来たんですか!」


 「知ってるよ、けれど中々忙しそうで会えないからな。だから俺から来てやったんだ。それより、大声を出すとアミィールが起きるぞ」




 「…………ぐ」



 正論に怯むセオドアを他所に、ダーインスレイヴはベッドの枕元に置いてある揺りかごの上でゴロゴロしている2人の子供達に近づいて、両手で優しく触れた。




 「ほう、アルティア達の言う通り、力が上手く半分にされているようだな。良かったじゃないか、セオドア」



 「ええ。…………けれども、やはり夫婦、家族の寝室に入ってくるダーインスレイヴ様は良くないと思います」



 すっかり不機嫌になったセオドアはぶっきらぼうにそう言う。ダーインスレイヴは『生意気になったなあ』と言いながら小さく笑ってそ、と子供達の耳に触れた。




 「なにを____ッ!」



 言い終わる前にバチン!と大きな音がした。慌ててセラフィールとアドラオテルの元に駆け寄ると___2人の耳に、青紫色のピアスが光っている。生まれて数日だというのに傷を………!



 セオドアは真っ青になりながらダーインスレイヴに再び怒鳴った。


 「ダーインスレイヴ様!私の子供達になにをするのですか!」


 「見ればわかるだろう。『俺を使う権利』をやったんだ」


 「答えになってませんッ!………ハッ、セラフィール、アドラオテル!」



 そう憤ってから、すぐさま2人の愛する子供達を見る。ピアスを開ける時焼けるように耳が熱く、痛くなるのだ。泣いてしまっては………!


 と、思ったのだが。




 「ぶぅ?」


 「あぶ?」



 紅銀の産毛のセラフィールは黄金と緑の瞳を潤ませながらも自分の耳に着いたピアスを小さな手で弄っている。群青の産毛のアドラオテルなどは黄金と紅の瞳をぱちぱちさせながらも口元には笑みを浮かべている。



 どうやら、泣く様子はない。ほ、と安堵するセオドアにくつくつ、喉を鳴らしながらダーインスレイヴは言った。




 「父親のお前よりも堂々とした子供じゃあないか。お前がこれをつけた時ギャンギャン騒いでいたのにな」



 「ッ…………ふざけないでください!これを外してください!」



 「サクリファイス大帝国の皇族なのだからこれをつけてないとだめだろう?


『家族の証』だと思わないか?」



 「…………………」



 そう言われると、乙女心がくすぐられる。お揃い、愛する人だけではなく大切な人とのおそろいは大好物なのだ。ぎゅん、と悶えるセオドアを見て、ダーインスレイヴは『父親になってもお前は可愛いな』とまた笑ったのだった。



 * * *





 子供達を見て1番騒がしかったのはこの人だ。




 「きゃ~~~ギャルゲー主人公×人外ヒロインの子供達~~~~! 」



 「ひう………」



 「きゃー!」



 「フラン様!ほっぺたをぷにぷにしすぎですッ!」


 セオドアに止められながらも高速で指を動かし、ボタンを連打するように2人の子供達の頬をつついているこの人は、セイレーン皇国の皇族であり聖女、ごまプリン頭のツインテール、黒い瞳のフラン・ダリ・ジュエルズ・セイレーンだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ