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魔法ヲタクな女王陛下は

 


 ____10分後。



 「れすから、ラフェエル皇帝様は、アルティア皇妃さまに甘いのれすよォ、あの人が滅茶苦茶するのはラフェエル皇帝様が甘やかすかられす、俺はいつもいつもそれに巻き込まれて………ぐずっ、男としての尊厳は地に落ちてるんれす………



 クリスティド国王陛下もれすよ?なんであんな破天荒なアルティア皇妃様に惚れるんれすかぁ!あの人は顔と身体が美しいだけで中身は近所のおばちゃんれすよぉ!アフロ頭のおばちゃんが美女の皮をかぶってるのれすぅ…………!」




 「……………」



 「……………」




 クリスティドとラフェエルはセオドアを黙って見ている。セオドアは顔を真っ赤にして涙を零しながら愚痴っている。酔っ払っているのは目に見えて明らかである。



 クリスティドはラフェエルに聞く。



 「ラフェエル………これは流石にまずいのではないか?まだ1杯しか飲んでないんだよな?………強い酒なのか?これは」



 「いや、グレープジュース並に弱いだろう。…………しかし、セオには効果的だったようだ」



 「ぶ?」


 「あう?」



 ラフェエルはセオドアから奪った子供達を抱きながら呆れている。セラフィールもアドラオテルも変わり果てた父親をじっと見ている。



 そんなことも目に入らないセオドアの愚痴は続く。




 「おれはじょそうなんてしたくないんれすよ、おとこなのれす、ちちおやなのれす、アミィにしか肌をみせたくないのれす、なのに………あんまりれすぅ………」



 「……………」



 「……………」




 仕舞いには突っ伏して泣き始めたセオドアを見て、クリスティドとラフェエルは顔を合わせて苦笑いをし、『セオドアに酒を飲ますのはだめだな』と言い合った。



 * * *





 「あああ……………」



 「……………」


 「……………」




 「ぶぶ?」


 「う?」


 アミィールとセオドアの目の前には、ヴァリアース大国女王陛下、エリアス・ラピュード・ヴァリアースがいた。



 エリアスは涙をぽろぽろと零しながらきょとんとしている子供達を見ている。


 俺達の可愛い子供達を見て泣いてくれるのは嬉しい。女王が泣くほど自分達の子供達が可愛いと思うと得意になる。けれども、それを3時間されてみろ?俺はもう話題切れだ。そしてこの女王陛下は可愛いから泣いているのではないのはすっかり知っている。




 そんなことを考えるセオドアをよそに、アミィールは顔を引き攣らせながら再び問うた。



 「あの、………エリアス女王陛下、どうか泣き止んでいただけませんか………?」



 「泣かないなどと無理ですわ!だって………この子達の魔力!素晴らしいです!力こそ少ないけれど綺麗な色をしていて、少ないと言えどそれはアルティア様と比べたら、という意味で膨大なエネルギーを纏っています!この子達は奇跡の双子です!ああ…………わたくしはこのような美しい魔力の前では無力…………」



 「………………」



 「………………」



 …………このとおり、子供達の顔よりも、子供達の魔力に魅了されている。なんでもエリアス女王陛下は稀有な力の持ち主で、魔力を可視化できる能力があるのだ。そして、それ以上に『魔法オタク』なのだ。子供達に猫じゃらしやおもちゃを見せて、なんとか魔法を使わせようとしている。


 けれど、子供達は猫ではないからあまりそう言うのに食いつかない。食いついてももちろん俺は止める。そんな猫の扱いを受けさせない。



 セオドアとアミィール様は苦笑いを浮かべながら、子供達を守るように抱きしめていた。そのあいだずっとエリアス女王陛下は鼻血を出して熱烈に『魔法を早く教育してくださいまし!』と語っていた。









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