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『男女逆転演説』からの…?

 








 ラフェエルの言葉に、全ての国民が笑顔になったのを確認してから、アルティアは小さく笑って口を開いた。



【「___この国は、もっともっと素敵になれる。今はまだ4人しかいない皇族だけど、これから2人も増える。


 辛いこと、苦しいことは半分こ。楽しいこと、幸せなことは2倍!私はこの双子がその2倍の手助けをしてくれると信じてるんだぜ!


 ………でだ、とりあえずそこのイチャイチャしている2人!キスが長いぜ!」】



 「!」


 「お母様…………!」




 びし、と指をさされて我に返ったセオドアは顔を赤らめすぐに唇を離した。寂しいアミィールはそう公衆の面前で注意する母親を睨む。


 しかしその母親が怖がることなどなく、あっけらかんとして言った。



【「とまあ、こんな感じで私たちの演説は終わり!少しは楽しめた?男装女装は楽しいね。これ風習にしたいわ」


 「アルティア皇妃様!何を仰っているのですか!ダメに決まっています!」】



 セオドアは顔を赤らめながらも吠えた。大声すぎてキィン、と国民達の鼓膜を揺らす。でも、国民達はアルティアの言葉にパァ、と顔を明るくした。



 「してほしい!」



 「これを大会にして欲しいですわ!」



【「…………はい?」】



 セオドアは思わず声を漏らす。しかし、それを無視するように国民達は口々に言った。




 「大会!いいなそれ!」



 「サクリファイス皇族達だけでなく美男子の女装が見たいですわ!」



 「それで大会か、面白い!」




 「美男子の女装がこんなにもいいものだとは思いませんでしたわ!」




【「え、え、え」


 「皆の者、戯言は…………」】




 戸惑う主人公夫婦。しかし、国民達はすっかりスイッチが入ってしまっている。




 「女装大会は1年に1回行って欲しいです!」



 「俺もやりてえ!」



 「ばーか、お前がやったら気持ち悪いだけだろ!けど、楽しそうだ!」


 「伝統行事が増えるのはいいことですわ!」



 「この企画をお考えになったのはきっとアルティア皇妃様だ!」



 「皇妃様ー!お願いします!」




 「「「「「た、い、か、い!た、い、か、い!」」」」」





 国民達がそうアンコールのように地団駄を踏みつつ叫んでいる。セオドアは目を見開いてその光景を見ていた。



 は?は?は?どうなっているんだこれは?男の女装なんて気持ち悪いだけだろう?いや、一概に悪いとは言わない。女装をしてみたいという男子はいてもおかしくない。けれどもそうなったらアルティア皇妃様は必ず俺を参加させるだろう。




 そして俺は女装したくない、父親になるから。しかも行事なんかにしてみろ、もし子供が男の子だったら男の子は女装されるんだぞ?それはいやだ、無理矢理このような格好はさせたくない。




 なんて考えが、アルティアに通じるはずもなく。『そっかあ~』と悪い笑みを浮かべている。




【「ではでは!国民達の意見を聞くことにしましょう!皇帝様!私からもお願いするぜ!



 女装大会をサクリファイス大帝国伝統行事にしたい!みんなー!賛成の人は大きな拍手をー!」】




 そう言うと沢山の拍手が闘技場を包んだ。熱狂しているのが目に見えてセオドアの顔から血の気が引いていく。




 こんなに熱狂していたら、ラフェエル皇帝様は……………!




 俺はラフェエル皇帝様をちら、と見る。

 とても難しい顔をしている。女装し一際美しいお顔が絶世の美女すぎるのだが、明らかに気の強そうな女にしか見えない。頼む、ラフェエル皇帝様、首を縦に降らないでくれ………!



 しかし____セオドアの願いが叶ったことなどほとんどなく。



 ラフェエルは不機嫌な低い声で言う。





【「……………いいだろう。その代わり、私はもう巻き込むな」】




 ワアッ!と歓声が上がる。

 自分だけ回避しようとしてるー!ずるい!ずるいーーー!



 セオドアはぎゅう、とアミィールを抱き寄せて涙を流す。アミィールは申し訳ないと言わんばかりに目を伏せて泣いている愛おしい御方の頭を撫でた。




 ____こうして、『女装大会』開催が決定したのだった。















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