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皇女はマタニティブルー

 




 「うれしくてなみだー!」



 「よろこんでるー!」



 「わらってるねー!」



 「あかちゃんあいたーい!」




 子供達は再び笑顔になる。俺は、苦しい胸を抑えて、必死に笑った。けど、涙が枯れることなく。



 _____俺は、恵まれている。


 つくづく思う。こんなに幸せな事が続くものなのか?



 いや。違う。




 全部、全部俺が積み上げてきた物なんだ。誠心誠意向き合ってきた結果なんだ。これが嬉しくなくて何が嬉しい?



 恵まれているんじゃない。俺が引き寄せた『幸せ』なんだ。



 この子達とは血は繋がっていない。



 だけど。



 心は、気持ちは、繋がっているんだ______。




 セオドアは一人一人にお礼を言った。

 その間も幸せそうに笑って、子供達は嬉しそうに背伸びしてセオドアを撫でていた。





 「…………どっちが子供なんだかわからないわね」




 アルティアは呆れながらも、それでも笑みを浮かべていた。











 * * *





 サクリファイス大帝国皇城・執務室



 「………………………」



 「…………アミィール様。どうかその険しい顔をおやめください。わたくしは生きた心地がしません」




 エンダーは淡々とそう言いながらアミィールを見た。アミィールは___とてもイライラしていた。



 ____今日は、セオドア様と子供達と遊ぶ予定だった。

 やっとの思いで掴んだ1日の休み、身重な身体だから家族で居ようとしていた。



 なのに。




 あの排泄物皇帝が仕事を押し付けてきたのだ。それだけじゃない。人格破綻皇妃がセオドア様を攫っていったのだ。



 もちろん抵抗した、直談判もした。

 なのに聞いてもらえず、こうしてこの代わり映えのない部屋で仕事をしている。


 お母様は昔言ってたわ。

『仕事ばかりする女は男に愛想を尽かされる』と。…………わたくしは仕事人間であることは自覚している。立場上仕方ないと納得もしている。



 けれど、こんなにも腹立たしい。



 _____ただでさえ、最近セオドア様との時間が不足しているのに。



 子供達と居るのは幸せです。何度も笑わせて貰ったり、幸せを分けてもらっています。けれど、我儘なわたくしは『セオドア様と2人の時間』も欲しいのです。




 もっと触れて欲しい。


 もっとキスがしたい。



 ___子供がいると営みはできないの?



 ____なんで、セオドア様はわたくしを抱いてくださらないの?





 …………いけない、そんなことを思っては子供達が悲しんでしまう。この子達の母親はわたくし。愛する御方との間にできた『愛の証』。それを否定するのはよくない。



 自分に嫌気がさす。なんと浅はかな女なのだろう。わたくしは。



 「……………エンダー、コーヒーを」



 「なりません、カフェインは子供達に毒です」



 「………………」




 大好きなコーヒーも飲めないのですね。妊婦というのはなんと難儀なものか。…………か弱い子供達、それはまるでセオドア様のよう。



 可愛さ余って憎さ百倍…………いえ、この言葉の使い方は間違っているわ。この子達は何も悪くないもの。




 わたくしが____未熟なだけだ。



 「……………わたくしが、本当に母親でいいのでしょうか」



 そ、と子供達のいるお腹を摩る。

 わたくしなんかの子供に産まれてくる2つの命は、可哀想なのではないか。



 セオドア様に___会いたい。




 「…………?」




 そう思った時、ぽう、とピンクと青の光が下腹部を覆った。






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