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主人公は過保護になる

 




 _____セオドア様がわたくしのことを想ってくれるのはとても嬉しい。それはどんな感情でもわたくしは嬉しいです。



 紅銀の長髪、黄金色の瞳の美しすぎるサクリファイス大帝国皇女、アミィール・リヴ・レドルド・サクリファイスは想う。


 わたくしと婚約し結婚してから少しずつセオドア様は積極的になっていった。勿論それが嫌なんてことはありません。様々な愛おしい殿方の一面はどれもわたくしの心を動かし、また、温かく優しいセオドア様の御心に救われることしかありません。



 ですが、…………最近は少し過剰なのです。



 たとえば、今。





 「んん…………アミィ、だめ」



 「………………」



 朝の4時、起きたわたくしは群青色の短髪、緑色の瞳の愛おしいセオドア・リヴ・ライド・サクリファイス様に強く抱きしめられています。逞しい身体でがっちりわたくしをホールドしています。



 眠そうな顔で、それでもわたくしから離れないのです。



 「セオ様、眠いのであればどうか寝てくださいまし」


 「………だめ、寝たら、アミィは鍛錬に行くから…………俺は、鍛錬して欲しくない。


 お腹の子供達も、きっと………」




 セオドア様はそう言って、わたくしを強く抱きしめながら再び夢の中に行ってしまわれた。



 …………そうなのです、信じられないことに、わたくしのお腹にはセオドア様の子供が2人も居るのです。嬉しくて幸せですが、セオドア様はそれからこうしてわたくしより早く起きて、こうしてわたくしを止めるのです。



『激しい運動をしたら子供達が死んでしまう』……………エンダーやお父様にそう言われ、わたくしも鍛錬を最近サボり気味です。身体が訛ってしまうから動かしたい気持ちはあるのですが…………セオドア様のこの愛らしい引き止めに、止まらない女などいないでしょう。



 なにより、朝が弱く、起きれなかったセオドア様が眠いのにそれでも起きてわたくしを止めようとしているほど想ってくださるのは嬉しいのです。それだけでじんわり心が温かくなります。





 「__セオ様、わたくしの身体も心も子供達も全てセオ様の身体の一部です。言われなくても、ちゃんと約束は守ります」



 「…………へへ」





 頭を撫でてあげると、セオドア様は寝ながら破顔して笑う。…………本当に、可愛らしい。実は鍛錬をする気はないけれど、セオドア様のこのお顔が見たくて、子供達が出来る前のように起きているのは秘密です。セオドア様がちゃんと起きる7時までこの可愛らしい殿方の寝顔を今日も堪能しようと思います。




 アミィールはそこまで考えて、寝ているセオドアに唇を重ねた。唇を重ねると寝ているというのに応えてくれるセオドアにアミィールはときめきを抑えることなどできなかった。






 * * *






 「リーブ様、この曲はどうでしょうか?」




 「素敵でございます」





 「本当ですか?では、次の曲の御教授もお願い致します」




 「もう少し指を動かしてからに致しましょう」


 「はいっ!」


 セオドアはそう言って嬉々とした笑みを浮かべる。今セオドアはピアノを弾いている。理由はただ1つ、いつものようにアミィールの為だ。


 ………いや、正確には『アミィール様達の為』か。



 セオドアは指を動かしながら、考える。

 ………アミィール様の妊娠が発覚して1ヶ月が経った。現在3ヶ月だ。3ヶ月前に_知ったのは1か月前だけど_俺の子供が2人も出来ていた。とても嬉しく幸せなことで、ここ1ヶ月は浮かれてばかりだったけど、それ以上に『なにかしたい』と思ったのだ。



 アミィール様の為。子供達の為。



 でも、俺は男で代わりに産んだり子供たちを育てる事などできない。だから、最大限のフォローと気遣いをしなければならない。………どれもこれも喜んでやっている。やっているのが幸せなのだ。



 で、それに伴い最近始めたのはピアノだ。何かと器用に熟すラフェエル皇帝様の側近・リーブがピアノを弾くのが上手い、とラフェエル皇帝様が仰っていたから教えて貰っている。









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