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それは突然だった

※若干BL描写あります。ご了承ください。

 





 リーファは分かる。けれど…………隣のダンディ感ある男は誰だ………?



 セオドア含めオーファン家は突然の事に戸惑う。しかしラフェエルとアミィールは2人に驚くこと無く言葉を紡いだ。



 「リーファ様、グランド様、ごきげんよう」



 「……………何しに来た?」



 グランド?グランドって誰だ?

 アミィール様の口から出た男の名前にモヤつく。ああ、俺は重症だ。重度の嫉妬深い男だ。


 セオドアは開き直りつつもアミィールを抱き寄せ男を睨む。臨戦態勢はバッチリだ。



 けれどもグランドと呼ばれた男はそれに気づくことなく跪いた。



『_____お久しぶりです、契約者様、アミィール様』



 「………その呼び方はどうにかならないのか、土の精霊よ」




 「土の精霊!?」




 思わず大きな声が出た。セオドアは慌てて口を塞ぐも時すでに遅し。響き渡った大声に答えたのはアミィールだった。



 「ええ、そうです。この御方は土の精霊・グランド様でございます」



 それを聞いたオーファン一家は膝をついた。精霊、妖精神は滅多に姿を現さないが会った時は頭を下げるのが常識とされている。…………まあ、俺は1度もする前にキスをされるのだが。でも、今回は出来たぞ。



 ほんの少し得意げになるセオドアを他所に、ラフェエルは口を開く。




 「…………何故いる?」



『契約者様がいらっしゃると土が言っていたので。………本当は2年前のアミィール様のお披露目会にも出たかったのだが、風の精霊に捕まっていて、行けなかったんです。


 アミィール様、申し訳ございません』



 「いいえ、大丈夫ですわ。そのお気持ちだけでありがたいです」




 「………………」



 アミィール様の気高い、控えめな笑みに安心する。………しかし、こんなにかっこいい美丈夫なんだ、乙女ゲーム『理想郷の王冠』の攻略対象キャラに違いない。気を引き締めねば…………





 セオドアは頭を下げるのを止めて、ジッ、と土の精霊・グランドを見る。土の精霊は案の定____アミィール様をまじまじと見ていた。しかも身体を。



 「…………ッ」



 俺のアミィール様をそんなにまじまじ見るな。俺だけのアミィール様だぞ。そんないやらしい目で見るな。



 ムカムカとする心を抑えるのに必死なセオドアを他所に、グランドは『ふむ』と何か考える素振りを見せながら、視線をリーファに移す。




『……………これは何かお祝いをするべきだと思うか?リーファ』



『ですね。とてもめでたいことなので。


 アミィール様、おめでとうございます』




 森の妖精神・リーファは綺麗なお辞儀をアミィールにした。それを受けたアミィールは首を傾げた。



 「?何がですか?わたくしではなく、結婚するのはわたくしのお兄様であるセフィア様です」



『いいや、アミィール様もめでたいだろう。


 だから____少し失礼、少年』



 「は?____っん!?」




 グランドはゆるりと歩きながらセオドアに近寄って、しゃがんで____唇を重ねた。すると、生まれるカーキー色の魔法陣。



 これ_____契約!?

 状況が理解出来ないまま、魔法陣に描かれた文字が左手の掌に滑り込んできた。泥を触っている気分になる。



 「ッ、セオ様!………どけてっ!」



『おっ、と』




 アミィール様が蹴りを繰り出す前に、グランドは素早く後ろに飛んだ。アミィール様のお顔には怒りが浮かんでいる。俺はまた訳の分からないまま、アミィール様以外とキスを……………!



 セオドアはそれだけで緑色の瞳に涙を浮かべる。突然だし愛おしい人以外に唇を重ねてしまった罪悪感、込み上げてくる不快感に震える。



 それを見ていたアミィールの怒りは最骨頂だ。




 「グランド様___いくら精霊でも、わたくしは貴方を許しません…………必ず、殺して『これはお祝いだ』………ッ!訳の分からない事を言わないでくださいまし!


 それとセオ様にキスする事となんの関係があるのです!?お祝いってなんですか!?」



『アミィール様、もしかして………まだ、お気づきになっていらっしゃらないのですか………?』



 「気づくとはなんですか!貴方もわたくしを侮辱するのですか!?」



 怒り狂うアミィールの言葉を止めたのは____セオドアの唇にキスをしたグランドだった。




『これはお祝いです。


 _____ご懐妊おめでとうございます、アミィール様』




 「…………は?」












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