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やはり貴方は素敵な人

 





 「すっごく美味しい、外で食べるアイスというのはこんなにも美味しく感じるのですね!」



 「ああ、出店のアイスというのは中々に趣があるんだ」




 アイスを食べながら、他愛のない話をする。…………アミィール様はやっぱり素敵な人である。普通の貴族であればこのような食べ物に対して『下賎な物』と決めつける。以前の婚約者であったギャルゲー『理想郷の宝石』の攻略対象キャラのマフィンなどは典型的にそのタイプだった。


 小さな頃、街に出て、俺が出店のものを食べようとしたら『そんな汚い物を食べないで!』なんて言われて、悲しくなった思い出がある。その点、アミィール様はそんなことを言わない。



 本当に、素敵な御方である。………俺には勿体ないくらい、美しく強く優しい御方。心の底からこの人を愛せてよかったと思う。




 「………………」



 「…………?どうしたんだい、アミィ?」



 ふと我に返ると楽しそうに喋っていたアミィール様が黙っていた。俺のアイスをジッ、と見ている。どうしたのかな………



 聞くと、アミィール様はふい、と顔を背けて『なんでもありません』と言った。………これは、なんでもあるな。



 セオドアはそんなアミィールの肩に頭を乗せて、静かに聞く。




 「アミィ、教えて。何を言ってもいいから」



 「ッ、その、えっと…………セオ様のアイス、美味しそうで食べたいな、と」



 「……………!」



 顔を赤らめもごもごとそう言ったアミィール様。……………本当に、なんというか、俺の理想のデートを見抜いているというか、それを超えた幸福を与えてくれるというか。



 かわいすぎだろぉぉぉ………!





 セオドアは悶える心を必死に抑えて、しかし顔を赤らめながらもおずおずとアミィールの前に自分のアイスを差し出す。



 「あ、アミィ、よかったら、食べておくれ」



 「………!いいのですか!?わたくし、はしたないのに………」



 「当たり前だよ、アミィに食べて欲しい。



 そして…………私にも、アミィのアイスを食べさせて?」


 「……………!」





 セオドアの言葉に、アミィールは更に顔を赤らめた。


 わたくしが意地汚いことを言ったのに、叱るどころか………一緒に食べてくれる、というセオドア様の御心が嬉しくて。



 わたくしも自分のアイスをセオドア様に近づける。セオドア様は、少し躊躇したけれど、わたくしの食べた場所をぺろ、と舐めた。




 ………嗚呼、可愛すぎます…………




 アミィール様は俺が食べると、戸惑いながらも俺の食べたところをほんの少し舐めた。小さな、いつも俺とのキスや男の象徴を舐めてくれる舌で舐めている。



 ……………これは、やばい、なんというか、今すぐ抱きたくなる……………




 ____我慢だ、我慢するんだ………!





 羞恥と嬉しさでアイスの味などわからない2人の心が合致した。






 * * *




 「街の活気は問題なし、ですね。不正な店も見たところございませんし、今のところ他国の人間も忍び込んでる様子はありませんね」





 「そ、そうだね」





 アイスを食べ終わり、2人は顔を赤らめながら城下町を歩いている。



 アミィール様は凄い。ちゃんとデートしながら視察の仕事も全うしている。俺なんて、手から伝わる温もりでドキドキしているのに……………普段から俺はそれ以上のことをしているというのになんて不甲斐ないんだ。



 1人で凹むセオドアを他所に、同じく顔の赤いアミィールも考える。



 …………公務の話をしていないと、キスをしてしまいそうになります。人目なんて気にせず、思いのままキスがしたい。なんで城下町がデート場所なのでしょう?…………いえ、これはセオドア様が選んでくださったデート、そんなことを思うのは醜いわ……………




 2人は未だに色々考えちゃうのでした。







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