皇女、初めての外食
「それにしても、結構人が居るんだね」
2人で恋人繋ぎをしながら街を歩く。セオドア様の緑の瞳はきらきらと輝いている。見ていて本当に飽きなくて、わたくしの表情筋はやっぱり働かない。
「ええ。この城下町は国で1番大きな街なので。ですからとても大きく広く活気があるのですわ。話題であったり新しい店を開いてみたりする場所、と言った方が近いでしょうか」
「凄いね、見ていてどこも綺麗で、年甲斐もなくはしゃいでしまう。………騒がしくてごめんね」
そう言って眉を下げるセオドア様。
謝ることなんてない。わたくしはセオドア様と居るだけで幸せなのだから。
アミィールは身体をセオドアに寄せながら、目を細めて見つめる。
「___セオ様が綺麗と言ってくださるこの街で、わたくし達がデートをしているのは夢みたいですね。
わたくし、舞い上がってしまいます………キスをしたくて、したくてたまりません」
「そ、………ッ……!」
そう言うと、真っ赤になるセオドア様。…………本当に可愛くて愛らしい御方。こうして恥じらうけれども、キスをする時は雄々しくて、………自然と大事な場所が潤う事を、貴方は知らないでしょう?わたくしは、とても不純な女なのです。
けれど、ダメです。今日はセオドア様にリードしてもらうのですから。
「セオ様、お腹は空いていませんか?どこかで食べたいなど御座いましたら、仰ってください」
「あ、う……………」
「…………?」
聞けば聞くほど赤くなるセオドア様。今日はちょっと恥ずかしがり過ぎませんか?…………デート、楽しんでくれていますでしょうか…………
アミィールは眉を下げる。それを見たセオドアは慌てる。
お、俺がリードしないからアミィール様がこのような顔を…………な、なにか打開策は…………!
そんなことを思いながら辺りを見ていると、大きな看板をみつけた。『アイス』とでかでかと書かれた出店。
アイスの食べ合いっこのチャンスじゃないか……………!
セオドアはそう考え、アミィールを見る。
「アミィ、喉は乾いていないかい?」
「え?どうしてでしょうか?」
「喉が乾いているなら…………一緒にアイスが食べたいな、と………」
もごもごと吃りながらセオドア様はそう言った。見ると、出店が。………わたくし、城以外でアイスを食べたことは無いけれど………セオドア様とアイス、食べたい。
「喜んで___一緒に、食べましょう?」
「!ああ!」
セオドアはその言葉を聞いて嬉しそうに笑った。
* * *
俺とアミィール様はアイスをそれぞれ買い、近くのベンチに座る。俺はチョコで、アミィール様はストロベリーだ。
しかし、アミィール様は不思議そうにアイスを見ている。
「?どうしたの、アミィ」
「えっと、この、アイスの下の物は何かな、と………」
「下…………?」
アミィール様の視線の先には___アイスのコーン。………も、もしや!コーンのアイスを食べたことないのか!?
セオドアの顔がさあ、と青くなる。確かに、皇城に住む皇族が食べるアイスと言えば、ガラス皿に載せられたアイスである。というか、アイスは絶対城で食べた方が美味しい………うわー!また失念していた!
ダラダラと汗を流しながらも、言葉を紡ぐ。
「えっと、その下の物は食べれるんだ、コーンと言って、チョコモナカの、チョコを包む部分に似てるよ」
「そうなのですか?では、いただきます…………んっ、美味しい!」
アミィール様はコーンを一欠片食べるとほわ、と笑った。ガハッ、く、クリーンヒット………この顔は、やばい。なんでこんなに可愛いんだ………。




