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皇帝に直談判

 




 「はぁっ、はぁっ……………」




 「………………」





 上半身裸で息を荒らげる義息を見下すのは___紅銀の短髪、紅い瞳の同じく上半身裸の美丈夫、サクリファイス大帝国皇帝、ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイスだ。



 先日行われた『下克上闘技大会』で戦って、そこそこ骨があっていい息抜きになるからとこうして毎日10分ほど相手をしている。筋は良いが優しさ故に攻めきれないなんとも甘い男である。



 「ら、ラフェエル皇帝様…………」



 「なんだ?もう弱音を吐くのかセオ」



 「そ、そうではなく………ッ」



 セオドアは汗だくになりながら震えている。顔色も悪い。体調が優れないのか…………?



 「おい、どうし__「お願いがありますッ!」ッ」



 キィンと劈くような大声に思わず耳を塞ぐ。涙目で雨に濡れた子犬のように見える様は男色趣味の男が見たらきっと手篭めにするのだろうな。



 それはともかく。



 「……………願いとはなんだ?」




 「そっ、そそそ、それは………!」




 そう言って緑色の瞳を逸らしてモジモジとし始めた。………この男からの願いは珍しいな。皇族になってなお我儘を言ったり強欲になったりしない。




 そう思うと、少し興味を持った。




 「____セオ、言ってみろ。聞いてやる」



 「えっと、その、あの…………わ、私は………ッ、………あ、アミィール様と………」



 「……………」




 ……………この性格には慣れる気がしない。言いたいことがあるのであればハッキリ言えばいいと思うからだ。アミィールは『お願いしますわ』なんて笑顔で無茶を言うのに。どちらが女だかわからん。



 そう思いながらも待ってあげるラフェエルに、セオドアは意を決して涙目を向けた。



 「あ、アミィール様とデートがしたいです!」



 「………………は?」



 「ひうっ…………」




 予想外過ぎるお願いにラフェエルは思わず声を漏らす。その声でさえビクビク怯えるセオドアに呆れた。



 …………やっぱり、この息子にこれっぽっちも慣れる気はしない。嫌いではないが………




 ラフェエルは頭を抱えたのだった。






 * * *




 生きた心地がしない。



 セオドアはラフェエルが頭を抱えているのを見ながら震えていた。上半身裸だから寒いのかもしれない、汗もかいたからな!…………いや、嘘です。ビビっています。


 アミィール様とデートする為にはこの城の最高権力者であり両親であるラフェエル皇帝様かアルティア皇妃様に頼むのが1番だとレイにいわれたのだ。


 アルティア皇妃様に言ってもよかったけれど………あの御方が関わるとろくなことにならない。これは確定事項だ。そうなるとラフェエル皇帝様に頼むしか無くなるのだが……………




 改めて、ラフェエル皇帝様を見る。とてもじゃないが40歳を超えているようには見えないイケメン。胸板が美しすぎるしお顔も綺麗だしアミィール様と同じ紅銀色の髪が綺麗だし…………紛うことなき完璧なイケメンだ。



 だがしかしとても冷酷な御方だと有名だ。最近は多少絡むようになったしそんなに悪い人じゃないのはわかっている。わかっているのだが義息と義父の関係というのは複雑なのだ。




 アルティア皇妃様のように近所のおばさん感覚で絡んでいいわけがないんだ、この人がユートピアのトップだし…………あ、アルティア皇妃様もその人に愛されているわけだから凄いんだけれど!




 それはともかく、もう緊張で俺はなにも話せない。ダメだったかな?最近仲良くなったから………という理由では許されないかな、でしゃばりましたすみません……………











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