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最後の最後までチート

 




 セオドアが顔を赤らめて震えている中、アルティアは前に出て再び口を開けた。




【「みんな強かった!結果が残った人も残らなかった人もみーんな強かったよ!私、年甲斐もなく楽しんじゃった!


 で、MVPを決めたいんだけど、国民の皆さんは誰だと思うー?」】




 「「「「セオドア様です!」」」」




 「ええっ!?」




 アルティアの言葉に、ほぼ全ての国民が自分の名前を呼んだ。セオドアは絵に書いたように驚き、顔を更に赤らめる。国民達はそんな愛らしい皇配に声を投げかける。



 「皇帝陛下様が空中戦するの初めてだったし凄かったですわ!」



 「あの翼は美しかった!」



 「流石皇配様は神の使いだー!」




 「え、え、え」




 神の使いとか言われているけど俺はギャルゲー『理想郷の宝石』のしがない平凡主人公です!そんな俺が!MVPとか神の使いとかありえないだろ!?



 そう叫びそうなセオドアに、アミィールは遠くからうんうん、と頷く。



 「妥当ですわね。わたくしのセオ様はお強いのです。排泄物皇帝が手を出さなければ皇帝でしたのに。


 現皇帝は本当に最低ですわ」



 「ふん。お前が舞台で恥をかかせたから尻拭いをしてやったんだ。感謝しろ」



 「お父様?わたくしとも手合わせしたいのですか?わたくし、セオ様の為なら貴方をも屠りますよ」



 「できるものならやってみろ、負け犬」




 「け、喧嘩はよしてくださいお二人共…………」




 セオドアは今にもおっぱじめそうな親子を止める。やっぱり俺の居場所は絶対ここじゃない。分不相応すぎてクラクラする。



 親子を止めているセオドアを他所に、4~9位の者の望むものを聞き終わり、講評を終えたアルティアはこほん、と咳払いをして言葉を紡いだ。




【「表彰式も終わりましたし、最後に皆さんの傷を癒しましょう!


 ____治癒魔法・"癒しの雨(ヒーリング・レイン)"」】





 「……………!?」




 アルティア皇妃様がそう言うと、闘技場の空に緑の魔法陣が生まれ緑色の淡い光の雨が降り注いだ。



 それに当たったら____先程負った傷が、みるみると癒えて行く。それは俺だけじゃなく、出場者全員の傷が癒えた。そしてまた上がる歓声。



 それを見て、セオドアは思った。



 _____やっぱりこの家族はチートしかいない。



【「ではでは、次の3年後まで、皆励んでね~!」】



 緑色の雨が降る中、アルティアの明るい声が響いた。




 _____闘技場に来た国民たちは全員口を揃えて『皇配様であらせられるセオドア様はサクリファイス大帝国皇族を誇る優秀な武人でもある』と風潮し、そう認識されることを、セオドアは知らなかったとさ。






 * * *




 「つ、疲れました………」



 下克上闘技大会が終わり、城に戻ってきたセオドアはすぐに自室のベッドに寝転んだ。はしたないのはわかっているが、本当に疲れているから頭なんて働かない。



 そんなセオドアを見て、アミィールはくすくすと笑う。



 「セオ様、格好よかったですわ。


 わたくし、感動致しました」



 「……………アミィの方が強かったよ。私はアミィのお陰で2位になれたんだ」



 「あら、そんなことはありませんわ」




 アミィールはそう言って、横になるセオドアの傍まで来てそ、とセオドアの手に自分の手を重ねる。



 セオドアはそれを受けて顔を上げると__闘技場に居た時とは違う、いつも通りの優しい笑顔を浮かべたアミィールの顔があった。




 「____セオ様はお強いです。わたくしが保証します。


 わたくし、…………セオ様の戦うお姿を見て、惚れ直してしまいました」




 「アミィ………………私も、アミィの格好いい姿を見て、惚れ直した………いいや、それ以上に貴方を愛おしく思った」



 セオドアはそう言って、寝転びながらアミィールの細い腰に抱き着いた。恥ずかしいけど………今日は疲れたから、甘えてもいいよな?



 そう思い目を閉じるセオドアを、アミィールは愛おしげに見て、優しく撫で付けながら言った。




 「お疲れ様です、セオ様_____」









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