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皇帝VS主人公

 





 「ふっ!」



 「……………………」





 群青色の髪を揺らした緑の瞳の男は刃も柄も青紫色に染まった剣を紅銀色の髪、紅い瞳の男に向かって放つ。




 紅銀色の髪の男はそれを簡単にいなしながら蹴りを繰り出す。



 「ぐはっ!」



 群青色の男の身体は宙に浮く。それを追いかけるように紅銀色の髪の男は接近し再び剣を握っていない手で拳を振り下ろすが、群青色の男はそれを剣で受けて自ら後ろに交代し、宙で回転しながら着地する。





 やっぱり…………ラフェエル皇帝様は普通じゃない。

 群青色の髪の男___セオドアはそう思う。

 怖いさ、とても。ラフェエル皇帝様は鉄球というハンデをつけてもなお、俺よりも早いんだ。剣を使いながら武術も織り込んでくる。俺がひとつやろうとすると、3つの動作で帰ってくる。………恐ろしいな。




『の割には、楽しそうじゃないか』



 脳内に、持っている剣_魔剣・ダーインスレイヴ_の声が響く。それを聞いて、セオドアはふ、と笑った。



 ____はい、私は今、とても楽しいです。

 あんなに苦手だった剣、いつもガロやリーブにコテンパンにされてて自信が喪失するときもあったのに、なんというか、ラフェエル皇帝様と戦うのは、楽しいのです。




 だからこそ____少しくらい、本気にさせたいとも思うのです。



 セオドアはそこまで考えて剣を構え直しながら、もう片手を前に出す。ポゥ、と掌にある水の精霊の契約印が淡く水色に光る。そうすると、大気中の水分が凝縮して____大きな水の玉が出来た。


 セオドアは叫ぶ。





 「水魔法!」





 そう叫ぶと大きな水の塊が鋭く尖って紅銀の男___ラフェエルに向かってくる。それを見たラフェエルは自分も片手を前に出して、火の魔力を纏い、火の塊が出来た。




 「____火魔法」





 大きな音を立てて水と火の塊がぶつかる。相殺して、水蒸気が辺り一面に広がり視界が暗くなる。それを切り裂くようにセオドアは飛び出した。



 ____不意打ち、できる!




 「はぁあっ!」




 「……………甘い」




 「っぐ!」




 ラフェエルは一言だけそう言うと剣の柄で思いっきりセオドアの鳩尾を突いた。その衝撃は強く、セオドアは再び空中に吹き飛ばされる。体制が整ってないセオドアに猛攻しようと接近するラフェエル。



 しかし____セオドアは笑っていた。鳩尾くらいくれてやる。突っ込んでくるのも想定内。



 「____!」




 ラフェエルが異変に気づくが___遅かった。空中には聖の魔法のトラップが仕掛けられている。セオドアの後ろから小さな隕石が雨のように降り注いだ。




 「いっけええええ!」




 「____ッ、雷魔法!」




 ラフェエルは腕に随分前に妻から譲り受けた雷の魔法を腕に纏いその礫を払う。それを見やりながらセオドアは悔しそうな顔をし叫ぶ。




 「浮遊魔法・フライ!」




 そう言うと、セオドアの背中から白い翼が生える。羽が舞う中、隕石の礫と共に突っ込んだ。




 「はぁっ!」



 「ぐっ!」




 空中戦、激しい剣技が観衆の頭上で行われている。セオドアもラフェエルも1歩も引かない。



 そして。




 両者とも顔には____男らしい笑みが浮かんでいる。



 セオドアは翼を羽ばたかせながら、青紫色の剣を躊躇なく振るえるのは、ラフェエルなら必ず躱せると思っているからだ。



 また、ラフェエル真正面からそれを受けるのは___それだけ強いと認めたからだ。




 _____楽しい、楽しい乱戦に、血肉が沸き踊り、美しく強い男達は乱舞を魅せた。














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