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主人公の根底は男なのです

 






【「さー!楽しくなってまいりました!夫VS婿の対決!この場に女など不要!現皇帝VS暫定皇帝!


 さあっ、これを見たい者は大きな拍手を!」】




 お母様がそう言うと雨のように拍手が振ってくる。『ラフェエル皇帝様ー!』『セオドア様ー!』と黄色い声が聞こえてとても不愉快。暴れてやりたいけれど、『世界最強生物』であり魔力お化けのお母様の魔力を解くことなど不可能で。





 セオドア様…………!





 わたくしは暴れながら見ることしかできなかった。








 * * *





 沢山の拍手の中、戸惑うことしか俺にはできなかった。


 嬉嬉として剣を構えているラフェエル皇帝様。この凡人の俺がサクリファイス大帝国史上最強皇帝だと呼び声の高い皇帝様との剣の手合わせなど烏滸がましいし、そもそも勝負に勝ち男として負けた俺には荷が重すぎる御相手で。



 身体が震えている。アミィール様が空中で縛られながらバタバタと暴れている。泣きそうな顔で俺を見下ろしている。



 戦いたくない。



 けれど。



 ____好奇心が無い訳では、無くて。

 俺はここまで強くなってきたつもりだ。2年間みっちり大事に鍛えられてきた。アミィール様をお守りする為に毎日剣を振るってきた。



 それだけじゃない。…………純粋に、この大きな国を、ユートピアを守るサクリファイス大帝国の皇帝がどれだけ強いのか、知りたい。俺とどれだけの差があるのか…………知りたい。




 乙女男子である自分がこんなことを思えるとは我ながら驚きである。………俺はやはり、アミィール様と共に生きて、男らしさが少しでも身に付いたのだろう。




 凄く、凄く怖い。



 けど。



 凄く、凄くやってみたいんだ。




 「____セオドア。ダーインスレイヴを取れ」

 



 ラフェエルの言葉に、セオドアは下を向くのをやめた。微かに笑みさえ浮かべている顔を向けて、囁くように言う。




 「………ダーインスレイヴ」




 そう囁くと、刃も柄も青紫色に染まった魔剣が現れる。それを手に取った。




『___面白いことになってるじゃねえか、セオドア』



 脳内に直接語り掛けるダーインスレイヴの声が心地いい。俺は心の中で言葉を紡ぐ。




 面白いかどうかなんて、わからないですけど……でも、ほんの少し、手を合わせてみたいのです。



 俺が本当に、アミィール様をお守りできるのか。ラフェエル皇帝様……いいや、義父様の力を受けてみたいのです。




 _____なのでどうか、力をお貸しください。




『ふ、………いいぞ、セオドア。


 俺も興が乗ったから、手を貸してやろう』




 「___!」




 ダーインスレイヴがそう言うと同時に俺の身体は沢山の光を纏った。この魔法………知っている。ダーインスレイヴを使う時にリーブさんが自分にかけている能力向上魔法だ。攻撃力アップ、超攻撃力アップ、防御力アップ、回避力アップ、瞬発力アップ、…………沢山の向上魔法をかけて頂いた。




 ……………ダーインスレイヴという魔剣は本当に凄い。



 それを感じながら、剣を構えて___口を開いた。




 「ラフェエル皇帝様、………よろしく、お願い致します」




 「よくいった、セオドア。それでこそサクリファイス皇族だ」




 ラフェエルは満足そうに笑って、剣を構えた。そんな2人を見て、アルティアは更に大声で宣誓するように言った。




【「話が纏まったようね!ではでは、改めまして!本当に最後の戦い!


 サクリファイス大帝国の現皇帝にして『冷酷非道、無慈悲な私の理不尽旦那様』、ラフェエル・リヴ・レドルド・サクリファイス!


 VS


 サクリファイス大帝国の暫定皇帝であり、『優しさの塊、慈悲深いアミィールの可愛い旦那様』、セドことセオドア・リヴ・ライド・サクリファイス!




 20年来の……いいえ、このサクリファイス大帝国での幻の面白いカードを実現します!



 ではでは、レディーゴー!」】





 高々と宣言された言葉と同時に、2人は剣を交えた。
















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