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魔剣の素性

 




 「ふう………………」




 ヴァリアース大国騎士団育成4日目。

 セオドアは額に垂れた汗を拭う。そのまわりには____気絶してしまったセフィアを除くヴァリアース大国騎士団一行。




 ………どうやら、俺は少しだけ強くなっているらしい。サクリファイス大帝国に来るまでは剣が苦手で、ヴァリアース学園の兵士にさえ勝てなかったのに、騎士団を倒せてしまった。そりゃあ、最初兄上とガロに『1人で相手をしろ』と言われた時は震え上がったけど、手合わせしたらそんなことはなかった。



 「おー、セオ、強くなったなぁ」



 「わ」




 そんなことを思っていると、その兄上に頭を撫でられる。兄上に褒められたのは初めてで少し浮かれそうになる。………が、俺はサクリファイス大帝国の皇配である。これぐらい出来なければならないのだ。





 「次は兄上が相手になってください」



 「もうちょいお前が強くなったらな」



 「……………逃げるのですか?」



 「その挑発には乗らないぞ」




 兄弟は睨み合う。俺が怒っている理由は未だに人の部屋に居座っているからだ。アミィール様は俺がいればどこでもいいと言ってくれているけど、俺は嫌である。



 そうむくれるセオドアに、セフィアは大きく溜息をついた。




 「部屋くらいでグダグダ言うなよ。減るもんじゃないし」



 「減ります。アミィール様の残り香が減ります」



 「気持ち悪いこと言うなよお前………そんなキャラだったか?」



 「とにかく!出ていってください!」



 「私は兄なんだが…………」



 「兄弟でもアミィール様との空間を邪魔するのは許しません!」



 「はいはい、あと6日したら出てくよ」



 「~!だからッ…………あ」




 そんな会話をしながら、何気なく鍛錬場の入口を見ると、ダーインスレイヴを見つけた。




 「ダーインスレイヴ様!」




 「やあ、セオドア。………お?見ない顔がいるなあ」



 ダーインスレイヴはいつものように飄々とした声で近寄ってきた。珍しいな、ダーインスレイヴが鍛錬場に来るなん「ダーインスレイヴだと!?」………?




 ふと、兄上が大声をあげた。驚いて見ると、兄上が目を見開いていた。知り合いなのか?



 「兄上、知っているんですか?」



 「ダーインスレイヴって名前は5000年前に居た伝説の剣士の名前だよ!正式な名前はダーインス・レイヴ!平民の出でありながら数多の達人を倒し続け、その腕のみでのし上がり、軍事国家・サクリファイス大帝国最強の称号を弱冠15歳で欲しいままにした…………!


 その剣の腕は国宝と呼ばれてもなお力無き民を第一に考え、貴族達から沢山の反感を買いながら貴族になることを固辞し、様々な剣の型を極め、後世の剣技歴史に大きな影響を与えた英雄だ!」



 「え」




 5000年前、という言葉に思わず反応した。確かに以前、ダーインスレイヴが5000年前、という単語を出していた。


 つ、つまり…………!?




 そこまで考えてセオドアはダーインスレイヴを見る。ダーインスレイヴは目を逸らしながら顔をポリポリとかいていた。




 …………その伝説の剣士ってまさかまさかの…………!?




 「ダーインスレイヴ様…………本当ですか?」



 「あー、えっと、………昔の話だ」



 「本物ですか!?」




 「うおっ!」




 ダーインスレイヴの言葉に兄上は目を輝かせて前のめりになる。こんなに興奮している兄上を見るのは初めてで戸惑った。………というか、本当に5000年前の人なのか…………!?




 オーファン家兄弟は目を輝かせてダーインスレイヴを見る。ダーインスレイヴはあー、うー、と唸ってから逃げるように去っていった。



 ……………5000年前の最強剣士がサクリファイス大帝国皇族に仕えている理由とはなんなのだろう……………




 未だに興奮している剣技オタクの兄の話を聞き流しながら、セオドアは考えるのだった。






 












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